無線LANは、環境要因によって遅くなることもあります。いわゆる干渉(あるいは電波干渉)と呼ばれるものです。今回と次回は、干渉が速度に与える影響について考えてみます。

干渉とは具体的にどのようなことなのか?

 無線LANで「干渉」といった場合、2つの意味があると思われます。

(1)複数の無線LANシステムが特定のチャンネル上で、限られた帯域を奪い合う

 図1に示すように、ある端末がフレームを送信しているとき、同じ周波数を用いるほかの端末はフレームを送信できません。フレームを送信中の端末により、伝送媒体(ここでは無線LANのチャンネル)は占有されるのです。このため、送信すべきフレームがあっても、ほかの端末が送信中であれば、待たなければなりません。このケースは、フレームの送信が阻害されるので、干渉しているといえます。

図1●帯域を奪い合うケースでの干渉
図1●帯域を奪い合うケースでの干渉
[画像のクリックで拡大表示]

(2)送信中の無線LANフレームに、ほかの電波が重なりフレームを破壊する

 図2に示すように、同じ周波数帯に複数の電波が重なった場合、受信される電波はこれらが合成されたものになります。目的とする信号が含まれる電波が、ほかの電波に比べて十分強くない場合には、データを取り出すことができず通信は失敗します。ここにいう「電波」は、無線LANのほか、Bluetoothやデジタルコードレスフォン、電子レンジなども含みます。これもフレームの送信が阻害されることがあるので、干渉といえます。

図2●ほかの電波にフレームが破壊されるケースでの干渉
図2●ほかの電波にフレームが破壊されるケースでの干渉
[画像のクリックで拡大表示]

 前述した(1)のケースだと、自分が送信したいときにほかの無線LANのフレームがあることが問題ですから、電波を強くしてもフレームを送信できるようにはならず得るところはありません。一方この(2)が原因で干渉するのであれば、送信出力を上げ(※1)電波を強くすることでS/N比が改善し通信状態が良くなる可能性があります。一方、遠くの無線LANに対して干渉を発生させることもあり、その場合は単に近所迷惑になってしまう恐れもあります。


※1:送信出力は、電波法で決められた強さまでしか上げられない

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。