「仕事ができて、やりがいを感じているが、苦手な人がいる」という人は少なくありません。特に取引先など社外に苦手な人がいる場合、極力連絡を取りたくないと思ってしまったり、その人との打ち合わせがある日は仕事のリズムが狂ってしまったりすることもあるはずです。かつての私にも、このような経験がありました。

 苦手な上司のように毎日長時間同じフロアで働いているわけではないため、苦手だけど本腰を入れて有効な対策を立てていない人も結構いると思います。しかし、なんらかの対策をきちんと立てなければ、苦手意識が強くなるばかりで、関係が改善することは恐らくないでしょう。これでは時短テクをマスターしても、苦手な上司同様、仕事がスムーズに進まないことも十分起こり得ます。

 特に苦手な人が得意先の担当者の場合、仕事の成果を大きく左右することが少なくないためかなり深刻です。逆に、この問題が解決すれば“超時間テク”が実現しますし、効率的な成果を上げることにもつながります。今回は、社外の苦手な人とのコミュニケーションを良好にするには、どうしたらいいのかについて考えてみたいと思います。

積極的に顔を出し、苦手意識をなくしていく

 苦手な人への用件ほど、メールで済ませたくなりますが、ほんの少しでも微妙なニュアンスが含まれる場合は電話か対話にすべきです。これは、苦手な人ほど微妙なニュアンスが伝わらないとトラブルになることが多く、ますます関係が悪くなるからです。

 電話・対話の機会が増えると苦痛も増えることになる、と思う人も結構いるでしょうが、苦手意識をなくす一番の方法といえます。これは接する回数が多いほど、相手に好感をもつ「単純接触効果」という心理作用が働くからです。

 日経ビジネススクールで、ビジネスコミュニケーションを教え、『かわいがられる力』(PHP研究所)などの著書がある安田正さんも、「苦手な人ほど声をかけろ」「嫌な人ほど顔を合わせろ」と述べているくらいです。

 苦手な人と会うときは、きちんと背筋を伸ばし、笑顔で挨拶をするのはもちろん、好意的に相手を見るようにし、相手のことを理解しようという気持ちで聞き役に徹するとよいでしょう。たとえ良い反応がなくとも、相手も悪い気はしないはずです。そのうちこちらのことも、徐々に好意的に見てくれるようになるでしょう。

 私も昔、得意先の専務を怒らせ、「この世界で生きていけると思うなよ! お前なんか絶対に潰してやる!」と怒鳴られたことがありました。

 絶体絶命ですが、この方法で辛抱強く、半ば自棄になっていたところもありますが、どれだけ打たれても前に出る姿勢を崩さないでいたら、ある日「友達になろう」と言ってもらえたことがあります。その後、この専務との仕事がスムーズになったのはもちろん、専務との仕事が楽しくなったくらいです。

 当たり前のように聞こえるかもしれませんが、背筋を伸ばし、苦手な人にきちんと笑顔で挨拶をするだけでも、意識していなければ、なかなかできるものではありません。苦手意識が薄れ、相手との距離が縮まるほど、仕事が段取り通りに進むようになり、ひいては成果につながるようになります。

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