前回始めた「iPhone動画撮影の実践編」の後編では、iPhoneを使って、製品の簡単な解説動画を作ってみたい、製品紹介をしてみたい、という場合を例に、動画を「どう構成するか」「どう撮影するか」を解説します。

  「構成」といっても大げさに構える必要はありませんが、動画が「なるほど、まとまってるな」と見えるには、最低限の「構成のポイント」を押さえておく必要があります。

「起承転結」の落とし穴、なぜビジネス動画に「転」が必要ないのか

 構成とは、情報の順番のことです。ストーリーといっても良いでしょう。構成あるいはストーリーというと、多くの日本人は「あ、起承転結のことですね、わかります!」となりがちです。ところが「起承転結」には、落とし穴があります。

■三部構成で行こう

 起承転結は、もともとは中国の伝統的な定型詩「絶句」をうまく書くためのノウハウとして考えられたものです。絶句は4行で1組、4部構成の詩ですが、それぞれの行を「起」「承」「転」「結」を心がけて書くとうまく行きますよというものでした。

 それぞれを解説すると以下のようになります。

  1. 起 うたい始め、語り出し、イントロダクション
  2. 承 起で提示したテーマを展開させる
  3. 転 起と承をひっくりかえすような意外な展開や裏切り
  4. 結 起承転を受けてまとめる

 この構成を先人は、絶句だけではなく一般的なストーリー作りや作文の作法として応用できるのでは考え、学校教育に取り入れたのです。結果、私たちはストーリー=起承転結という条件反射を示すようになったのです。

 しかし製品を紹介する場合、起と承まではともかく、三つ目の「転」の扱いに苦慮してしまいます。転はそれまで積み上げてきた論をひっくり返すことですから、これをやろうとすると説明にならなくなってしまうからです。

 つまり、起承転結は「紹介」や「説明」には向かないのです。そこで、転を捨てて「起」「承」「結」の3部構成にしてしまいましょう。

  1. 起 製品の概要を伝える(総論)
  2. 承 製品の特徴や、優位性を伝える(各論)
  3. 結 まとめ、おススメのことば など(結論)

 とすれば、簡潔にまとまります。「転」は、ドラマチックな展開をするための仕掛けなので、シンプルに「良さを伝える」製品紹介などには、不要な部品なのです。

■まず「言葉」を書こう

 一般的に動画を作る際には、まずシナリオや絵コンテを書こう!と言われます。確かに、動画の設計図とも言えるシナリオや絵コンテは動画制作の上で重要なものです。

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