第1回、第2回では、企業と顧客のそれぞれの視点から見たオムニチャネル・マーケティングの事例と、その中でのアナリティクスの活用について紹介しました。今回は、オムニチャネルを実現する裏側の仕組みとしてのシステム機能要件や機能構成要素を定義し、「オムニチャネル・マーケティング実現プラットフォーム」とはどのようなものかを解説していきます。
まず、オムニチャネル・マーケティングを実現する基本的なシステムの機能要件を整理します。
オムニチャネル・マーケティングシステムの機能要件
- チャネルごとの双方向のインタラクション情報を、目的に応じてリアルタイムもしくはバッチで収集できること
- 全ての顧客接点での顧客情報を一元的に管理していること(カスタマー・シングルビューの実現)
- 顧客インサイト(顧客の振る舞いなどの根底にある本音)に基づくパーソナライゼーションが実現できること
- マーケティング業務に携わるユーザー(業務ユーザー)自身がカスタマージャーニーマップに沿ったアウトバウンド/インバウンドのオファーシナリオを設計し、実行できること
図1は、オムニチャネル・マーケティングを実現するための上記の機能要件を満たした全体機能構成図です。このシステムを機能群別で見ると、以下の3つの機能群に大別できます。
- 顧客タッチポイントを担うチャネル機能群
- (コールセンターやEmailなどの)インバウンド/アウトバウンドチャネルシステム
- メール配信システム
- マーケティングアプリケーション機能群
- リアルタイム・マーケティングシステム(インバウンド)
- キャンペーン管理システム(アウトバウンド)
- 分析システム
- 最適化エンジン
- データ収集・データベース機能群
- イベントストリーミング基盤
- Webログ収集
- チャネルDB
- DWH(データウエアハウス)
- カスタマー・シングルビュー(顧客統合DB)