新世代ERPの登場はユーザー企業にとっても好機となる。ERPをデータ収集・活用の経営基盤として、競争力強化や事業拡大につなげる。こうした目標を掲げて先行ユーザーは動き始めた。日本企業の取り組みを紹介する。

 「目指すはインダストリー4.0。生産工程でのIT活用を進め、市場競争に打ち勝つ」。太陽光発電用の電源機器を主力製品とする田淵電機の朝日統括はこう話す。

 同社はこの狙いを実現するために、SAPのS/4HANAを採用することに決定。2016年4月にまず国内拠点で稼働させる計画だ(図7)。

図7●田淵電機が取り組む製造改革
図7●田淵電機が取り組む製造改革
IoT駆使して収集したデータをERPで分析
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分析結果を生産計画に反映

 ドイツが国策として推し進めているインダストリー4.0は、ITを使って製造業の競争力を高める取り組みである。工場内の設備機器をネットワークにつなぎ、生産工程の自動化や工場同士の連携を目指す。独シーメンスや独ボッシュなどが中核企業で、SAPも参画している。

 田淵電機が描くのは、こんな利用イメージだ。工場内の生産設備の稼働ログや、取り付けたセンサーで取得できるデータを収集・分析。その結果を生産計画や指図情報などの改善に生かし、リードタイムの削減や品質の向上につなげていく。

 同社の工場では現状、工数管理や進捗管理などをExcelで記録している。S/4HANAの導入と同時に「IoTを使って、データの収集を自動化する仕組みを実現する」(朝日統括)考えだ。

 S/4HANA導入プロジェクトの要件定義は完了し、現在システムを構築中だ。国内拠点に導入した後に海外拠点にも展開していく。「ERPの導入により、各拠点の業務を標準化できるという効果も期待している」と朝日統括は話す。

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