最新のITを駆使して、ビジネスに直接寄与する機能を提供する。新世代ERPの目標は共通しているが、対象分野や機能はそれぞれ異なる。SAPのS/4HANA、ワークスアプリケーションズのHUE、ワークデイのWorkdayという主要3製品の実力を見ていく。

[S/4HANA]BIの感覚で使える

 営業担当役員がタブレットで自社の財務状況を確認している。営業損益やキャッシュフローが前年実績や予算と比べてどうかを数値やグラフで参照できる(図2)。

図2●S/4HANAの利用例
図2●S/4HANAの利用例
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 「どうも気になるな」。役員の目にとまったのは営業利益率だ。予算に比べ13bps(0.13ポイント)低い。役員はもう少し調べてみようと思い、営業利益率の部分をタップ。営業利益率の内訳を調べていく。

 「総費用が予算より0.1%高い。セグメントは『グローバルカスタマオペレーション』か。地域別に見ると…南米が高いな」。

 ここで地図の形で表示すると、ブラジルの営業費用が予算を30%近く上回っている。内訳を見ると「外部サービス費用」が原因のようだ。役員は勘定科目別レポートを表示、詳細にデータを調べていく──。

 これがS/4HANAの利用イメージだ。スマートフォンやタブレットから、一般向けアプリを利用する要領でデータを参照・分析できる。ERPを今どきのBI(ビジネスインテリジェンス)の感覚で使えるわけだ。

 分析対象は一般的なERPが扱うビジネスデータに限らない。SAPジャパン インダストリークラウド事業統括本部の大我猛シニアディレクターが例として挙げるのはIoTのデータだ。「工場の生産設備にセンサーを取り付け、稼働状況を収集する。これらのデータを、ERPが管理する生産計画や指図情報と組み合わせて分析する、といった使い方が考えられる」(大我シニアディレクター)。

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