RDBMS市場では、パッケージのライセンス販売額の伸びが止まり、代わってRDBサービスの存在感が高まりつつある。こうした中、米Microsoftや米Oracleが今年リリースするRDBMSパッケージの新版では、RDBサービスの土台として使う上で重要な機能が強化されている。
国内のRDBMS製品市場に、構造的な変化が起こりつつある―。アイ・ティ・アールの生熊清司氏(プリンシパル・アナリスト)がまとめた調査報告によれば、長きにわたって安定的に増えていたパッケージの新規ライセンス販売額が2017年度と2018年度で頭打ちになり、以降は減少する(図1)。
パッケージに代わり、「2017年度以降はSaaSとしてRDBMSの機能が提供されるRDBサービスの存在感が高まる」(生熊氏)。現在、RDBサービスは主に開発環境やテスト環境として利用されるが、2017年度以降はマーケティング支援システムをはじめとする新システムの稼働環境として本格活用が進む。
RDBサービスの整備もさらに進んでいる。米Amazonはクラウド環境に最適化して独自に開発したRDBエンジンの「Amazon RDS for Aurora」の機能を2016年6月に拡張した。遠隔地(異なるリージョン)へのレプリケーションを可能にした(リードレプリカを設けられる)。米Oracleは富士通と組んで、日本国内のデータセンターでRDBサービスを2017年第1四半期までに提供する。
こうした動きを背景に、最近のRDBMSの技術革新は、RDBサービスの構築や利活用を推進する機能が中心になっている。米Microsoftが2016年6月にリリースしたRDBMSの新版「Microsoft SQL Server 2016」と、米Oracleが同年9月開催のプライベートイベントに合わせて発表すると見られる次期版「Oracle Database 12c リリース2」(以下、Oracle 12.2)の主たる機能強化点を表1に示した。