セールスフォースは2018年6月に、米国シカゴで「Salesforce Connections 2018(SFCNX18)」を開催し、同社の人工知能(AI)エンジンである「Einstein(アインシュタイン)」を駆使したデジタルマーケティング活用事例を数多く紹介した。SFCNX18に参加したディレクタスの鈴木 重行氏が、自身の目で見た最先端を解説する。


 昨今、あらゆる業種・業態で、AI(Artificial Intelligence、人工知能)の活用が進んでいる。デジタルマーケティングの分野でもAIを活用した様々な試みが進んでおり、2018年に入ってから、さらにこの傾向は加速した印象を受ける。

 世界でCRM(顧客関係管理システム)領域のビジネスを展開しているセールスフォース ・ドットコム(以下、セールスフォース)も、この流れを自ら牽引すべく動いている。マーケティングプラットフォームを含む同社の製品にAIエンジンである「Salesforce Einstein(アインシュタイン)」を組み込み、様々な機能を本格的に提供し始めている。

 そんな中、セールスフォースは米国シカゴで開催したイベント「Salesforce Connections 2018(SFCNX18)」で、Einsteinを含むAIを駆使したデジタルマーケティング活用事例を数多く紹介した。本イベントに参加した筆者が、現場で目の当たりにしたAI先端機能や最新の活用事例を紹介する。

Salesforce Connections 2018(SFCNX18)会場の様子
Salesforce Connections 2018(SFCNX18)会場の様子
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AIのデジタルマーケティング領域での活用

 現在、世界は「第4次産業革命の真っ只中」であると言われている。蒸気機関・石油・コンピューターに続く第4次革命では、複数の新技術が主役となるとされる。中でも注目を集める技術が「AI」だ。既にAIは産業や生活シーンで使われ始めているが、デジタルマーケティング領域ではどのような活用が見込まれているだろうか。

 2045年に「シンギュラリティ」(技術的特異点)に到達すると、人間の能力を超えた汎用型のAIが登場するとされている。しかし2018年現在は、AIは特定領域に特化して使われているにすぎない。

 デジタルマーケティング領域では、次の三つの分野での活用が進んでいるといえる。

(1)識別:情報(言語、音声、画像、動画など)の判別や仕分け、検索
(2)予測:データの推移やニーズ、意図の予見とマッチング
(3)実行:行動の最適化や作業の自動化

 例えば、デジタルマーケティング領域での「識別」分野の活用は、自然言語認識によるチャットボットや音声認識によるスマートスピーカーなどが代表例として挙げられる。「予測」分野では、顧客行動を予測し、その結果に基づいて顧客をセグメント分割することなどがある。「実行」分野での活用としては、メール配信などのマーケティングアクションの最適化と自動化が挙げられるだろう。

 セールスフォースもそれぞれの分野で、各製品向けに「Einstein」の機能を用意している。SFCNX18で紹介されていた各分野の最新AIサービスと、その米国での最新活用事例を紹介していこう。

AIチャットボットサービス「Einstein Bots」

 イベントでは「識別」分野の製品として、「Einstein Bots」というサービスを紹介していた。同サービスは、顧客データやコールセンターの情報を一元管理できる「Salesforce Service Cloud」内に位置づけられている。

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