ブロックチェーンをビジネスに活用しようという動きが賑やかだ。ビットコイン(Bitcoin)をはじめとする仮想通貨の中核技術であることから「仮想通貨のための技術」と思われがちだがそれだけではない。さまざまなビジネスの共通プラットフォーム構築の基盤技術としての応用が急速に進められている。
ビットコイン(Bitcoin)をはじめとする仮想通貨の中核技術として注目されてきたブロックチェーン。データがやり取りされた内容を「ブロック」にまとめ、「鎖のように」つないで記録する技術である。
ブロックチェーンでは、データを変更する際に新たに取引した内容と合わせて、その前のブロックでデータのやり取りをまとめていた「ハッシュ値」を格納しておく。取引の記録を変更するたびに、ハッシュ値も変わっていく。
ブロックチェーンでの取引の参加者全員はハッシュ値を含むデータの変更内容を共有する。この仕組みで改ざんなどの不正行為をいわば「皆で見張る」格好となるため、改ざんが極めて困難とされている。この技術を応用し、仮想通貨以外にも、例えば輸出入取引やシェアリングエコノミーなどへの応用が進められている。
しかし、このブロックチェーンについては、そもそも「本当に信頼できる技術なのか」といった素朴な疑問を抱く人も多いのではないだろうか。ビットコインが登場した2009年から約10年が経過した今、安全性がしっかりと確立されているのであれば、「ブロックチェーンを活用したサービス」が次々に実用化されていてもおかしくはないという見方だ。しかし現時点で進められているのは、ブロックチェーンを使う「実証実験」にとどまっている。
ブロックチェーンは、本当に安全な技術なのだろうか。そして、安全であるとすればどのような応用用途が見込まれるのか。そして実証実験では何を検証しているのか。
ブロックチェーンは本当に安全なのか
ブロックチェーンの安全性に対し、2017年7月にブロックチェーンラボを立ち上げ、ビジネス利用のための実証実験を進めているセゾン情報システムズのテクノベーションセンター・ブロックチェーンラボの清水健一氏は、「2009年から今日までビットコインがハッキングで破られたことは一度もありません」と強調する。
仮想通貨を巡るネガティブな話題として取り上げられるのは、仮想通貨の価格の乱高下や仮想通貨を扱う取引所の問題だった。最近でも、仮想通貨取引所のシステムが不正アクセスを受けて、高額の仮想通貨が流出した事件が大きな話題となった。