端末を落としても情報は漏れない

シンクライアントのデスクトップ画面
シンクライアントのデスクトップ画面
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 冒頭の金城氏が積極的に社外でもiPadを使える状況を支えているのが、複数のセキュリティツールや運用サービスだ。事務統括部システム企画課の宮里和宏主任は、「CRMシステムのほか、稟議書などが動くノーツへのアクセスについては、KDDIの閉域網とシンクライアントによりセキュリティを確保している」と説明する。

 行内システムへのアクセスについては、シトリックス製のシンクライアントソフト「Citrix Receiver」で実現した。iPadと行内システム間では画面情報だけをやりとりするので、iPadには行内システムのデータが残らない。「万一iPadを紛失しても漏洩の心配がないようにした」(宮里氏)。iPadの画面キャプチャ機能も使えないようになっている。

事務統括部 システム企画課 宮里和宏主任
事務統括部 システム企画課 宮里和宏主任

 また、iPadから行内システムへのアクセスはKDDIの閉域網サービスCPA(シーパ)経由。外部のホームページへのアクセスについてはi-FILTERを導入することで危険なホームページへのアクセスを防止している。モバイル端末については、AndroidやWindows搭載機も検討したが、ウイルス感染の報告が少ないことからiPadに決めた。

 運用サービス面では、故障や盗難、紛失など万一のケースへの対応を想定。KDDI BPOセンターで24時間365日、紛失や盗難対策としてリモートワイプ(遠隔データ消去)ができる契約をしている。またiPadを導入した沖縄セルラーにも、問題発生時などにはサポートを受けている。

 なお、CRMシステムは、金融向SFA/CRMシステムパッケージ「BankNeo」(日本システム技術)をカスタマイズして導入しているが、シンクライアント環境で使えることが、採用の重要な要件の一つだった。