北陸新幹線と山陽新幹線の乗務員全員を対象に、1200台のiPadを投入したJR西日本。山陽新幹線は2015年1月、北陸新幹線は2015年3月の開業と同時に運用をスタートした。直感的な操作ですぐに目当ての情報を示せるタブレットは、効率化はもちろん、従来実現できなかった顧客サービスも可能にした。最新テクノロジの導入と活用が、最前線の業務をいかに変えたかをみてみよう。

案内アプリから異常時対応マニュアルまで格納

 JR西日本は北陸新幹線と山陽新幹線の全乗務員にiPadを配布し、日々の接客業務などに活用している。このiPadには、従来は紙の冊子として携行が義務付けられていた様々な規程類のほか、翻訳や乗り換え案内のアプリケーションなど、乗務員の日々の業務に欠かせない情報やツールが搭載されている。

金沢新幹線列車区 車掌の奥正太氏

 旅客輸送において最も重要なのは、言うまでもなく乗客の安全確保だ。列車の運行中に事故や異常が発生した場合、乗務員はすみやかに、乗客の安全を確保するための適切な行動をとらなければならない。

 タブレット端末に格納されている規程類には、そうした際のルールやノウハウが詰め込まれており、JR西日本の乗務員はこれを携行する義務を負っている。タブレットを導入するまでは、3キログラム以上もある分厚い紙の規程類を持ち歩かなければならず、乗務員の大きな負担となっていた。それがタブレット端末を肩から提げるだけで済むようになった。

 北陸新幹線に乗務する金沢新幹線列車区 車掌の奥正太氏は、「重たい紙の規程類を持ち歩く必要がなくなり、本当に楽になった。必要な情報にも以前よりずっと速くアクセスでき、お客様への対応が格段にスムーズになったと実感している」と話す。

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図●乗務員用端末のホーム画面(左)。時刻表や乗り換え案内、筆談アプリなどのアイコンが並ぶ。右は新幹線と在来線の時刻表アプリ画面。
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図●マニュアル管理アプリの画面(左)。通常業務のマニュアルのほか、「異常時運転取扱ブロック図」(右)といった異常時の対応マニュアルも多く並ぶ。