ストレージ分野の巨人であるEMCが、アプリ基盤を前面に出してきた。EMCのハード上に、ヴイエムウェアとピボタルのソフトを積み上げる。連合を進めて力を結集する一方、グループ外の企業とも連携を深める。「緩やかな連合」で、フルレイヤーのインフラを最大限に活用する狙いだ。
第3のプラットフォームを実現するために、ジョー・トゥッチ氏が掲げたのが「グループ企業の「Federation(連合)」だ。
EMCは、米ヴイエムウェア(EMCの持ち株比率は80%)、米ピボタル(同84%)、米RSA(同100%)を傘下に持つ。各社の製品・サービスを持ち寄れば、ハードウエアから開発フレームワークまでをカバーしたフルレイヤーのアプリ基盤が整う。
ただし、グループに閉じた「垂直統合」に固執するわけではなく、各社とパートナーとの水平協業はこれまで通り。「それぞれのマーケット戦略やエコシステムを維持しながら、各社は連合に参加する」(トゥッチ氏)。
多様なハード、ソフトを組み合わせ
EMC連合が描くアプリ基盤は、EMCのハード上でヴイエムウェアがIaaSを実現、その基盤上でピボタルがPaaSに必要なミドルウエアを提供する。
従来のストレージ分野とRSAによるセキュリティをカバーするのが、「EMC II(EMC Information Infrastructure)」である。EMC IIは、EMCの社内組織であり、デビッド・ゴールデン氏がCEOを務める。ヴイエムウェアを率いるのは、米インテルからEMCに転じたパット・ゲルシンガー氏。ピボタルは、米マイクロソフトからEMCに転じたポール・マリッツ氏がCEOを務める。
ストレージ仮想化に注力
EMC IIのストレージ戦略についてCTCの大久保氏は、「“箱”としての進化を追求しながら、ストレージの容量を動的に増減させる機能に注力してきた」と見る。
ストレージ進化のトレンドの一つが、フラッシュメモリーの活用だ。既にオールフラッシュストレージ「EMC XtremeIO」を投入済みだが、この5月にフラッシュストレージを手掛ける「米DSSD」を買収し、ラインナップ拡充に動いた。
2013年あたりから力を入れているのが、「ソフトウエア・デファインド・ストレージ(SDS)」だ。ストレージ仮想化ソフト「ViPR」は、同社製以外の製品を含む、様々なストレージに対して、統一的なアクセスを可能にする。