低空飛行を続けてきたM2M市場が、IoTという新たなキーワードとともに変化の兆しが見えてきた。市場を後押しし、より幅広い分野でバリューチェーンを成立させる「コスト削減」「最適化」「エコシステム形成」という波が一気に加速し始めたからだ。コスト面では、課題だったローミング料金の問題が解消へ向かいつつある。「最適化」は標準化の場で顕著となり、「エコシステム形成」は2014年に入り活発化している。

 コスト面の課題だったローミング料金も解消へ向かいつつある。M2Mをグローバルでワンストップかつ低廉に提供するために、世界の通信事業者が航空会社のようなアライアンスを結成する動きが出てきたからだ(表1)。

表1●通信事業者が航空会社のようにアライアンスを組む
グローバルでシームレスにM2Mサービスを展開するプラットフォームとして機能する。
表1●通信事業者が航空会社のようにアライアンスを組む
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 これらのアライアンスでは、グローバルM2Mプラットフォームを用意し、回線の状況を一括管理できるようにしたり、メンバー間でローミングコストを抑えたりするような取り組みが進んでいる。デバイスの輸出先となる現地SIMの調達やサポートを、アライアンスのメンバー間で協力し合う体制を築いているケースもある。

 さらに技術面では「eSIM」と呼ばれる、遠隔からSIMのプロファイルを後で変更できる仕様の商用化が始まった。eSIMは、ローミングコストを大きく削減できるほか、モジュール搭載機器について製造工程を大幅に簡略化できるメリットがある。

 携帯各社が進めるグローバルM2Mプラットフォームは回線の接続管理部分を共通化するものだが、サービスプラットフォームの部分も含めて標準化しようという動きも進行している。2012年7月に、ARIB、CCSA、ETSI、TIA、TTA、TTCという世界各国の通信系標準化団体が協力して立ち上げた「oneM2M」だ。目指すのは、「多様な業界で共通的に必要となるサービスプラットフォームを定義する。コスト削減とともにデータを再利用しやすくし、新たなサービスを創出する」(oneM2MのTechnical Prenary LeadershipでVice Chairを務めるKDDI 技術開発本部標準化推進室標準化戦略グループの山崎徳和マネージャー)ことだ。

 oneM2Mは立ち上げから2年がたった2014年8月にようやく初版をリリースした。これに対する業界関係者の評価は分かれるものの、M2M/IoT市場を拡大する理念に沿った第一歩を踏み出したことは間違いない。

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