写真1●HP 3PAR File Personaについて説明する、HPストレージ事業統括本部、ストレージマーケティング本部、カテゴリーマネージャの加藤茂樹氏
写真1●HP 3PAR File Personaについて説明する、HPストレージ事業統括本部、ストレージマーケティング本部、カテゴリーマネージャの加藤茂樹氏
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写真2●HP 3PAR StoreServ 7440cの外観
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2014年12月16日、ミッドレンジSANストレージ「HP 3PAR StoreServ 7000シリーズ」にファイルアクセス機能を追加することでSAN/NAS統合ストレージとして使えるようにするソフト「HP 3PAR File Persona」を発表した(写真1)。OSに組み込まれた形で動作する。2015年春ころにソフトウエアライセンスを出荷する予定。これに先立ち、既存のストレージに同ソフトを適用できるようにメモリー容量の拡張などを施した新モデルを、12月16日に販売開始する。

 前提となるHP 3PAR StoreServとは、SANストレージである(関連記事:日本HP、3PARストレージに300万円台のエントリー新機種)。FC(FibreChannel)、iSCSI、FCoE(FC over Ethernet)を介して、ブロックストレージとして利用できる。3PARブランドの特徴は、ボリューム容量を仮想化するシンプロビジョニング機能をいち早く取り入れたこと。物理ディスクの集合体を共有ストレージプールとして用意しておき、ボリュームに対して実際にデータが書き込まれた分だけ、このプールからディスクの欠片(チャンク)を動的に割り当てる仕組み。

 HP 3PAR StoreServ自体はSANストレージ(ブロックストレージ)であるため、これまでは、NAS(ファイルサーバー)として利用する際には、別途NASヘッド(ブロックストレージの手前に配置してファイルアクセスとの間でプロトコル変換するゲートウエイ装置)を利用していた。実際に日本HPでも、3PARブランドのNASヘッドである「HP 3PAR StoreServ File Controller」を用意している。

 これに対して今回、HP 3PAR StoreServのストレージOSの機能を拡張するソフトウエアとして、これまでのSAN(ブロック)ストレージに加えてNAS(ファイル)ストレージとしても利用できるようにする統合ストレージ化ソフト(HP 3PAR File Persona)を用意した形である。これを適用すると、CIFS/SMB、NFS、オブジェクトアクセス(REST API)を追加できる。ストレージ自体がSANのインタフェースとNASのインタフェースを兼ね備えるため、NASを利用する際に別途NASヘッドを用意する必要がなくなる。

 統合ストレージ化ソフトのリリース時点では、ブロックアクセス用のボリュームとファイルアクセス用のボリュームは独立しており、単一ボリュームにブロック/ファイル両方でアクセスする使い方はできない。ボリュームにチャンクを供給する物理ストレージプールについては、ブロック/ファイルを問わず、ストレージ全体で共有できる。

統合ストレージに先立ち、ストレージの新モデルも用意

 統合ストレージ化ソフトのHP 3PAR File Personaを適用するストレージ側の前提として、メモリー容量などを拡張した新モデルを、ミッドレンジ機それぞれに用意した。新モデルは「7200c」「7400c」「7440c」「7450c」の4機種で、いずれも機種名の末尾に「c」が付く。例えば、7200をベースにHP 3PAR File Personaを適用可能にしたモデルが7200cである。7200を7200cにするなど既存モデルを新モデルにアップグレードするキットも用意したという。

 また、HP 3PAR File Personaと新モデルの発表に合わせて、HP 3PAR StoreServの新機種「HP 3PAR StoreServ 7440c」(写真2)も発表した。同モデルは、SSDに特化した独自のキャッシュ技術によってI/O処理を高速化したオールSSD構成)の7450c(関連記事:日本HP、3PARストレージにSSD性能を高めた専用モデルを追加)をベースに、HDDも搭載可能とした機種である。これに対して7200と7400は、HDD/SSD兼用ストレージであり、SSDに特化した機能を備えているわけではない。

 HP 3PAR StoreServ新モデルの価格(税別)は、以下の通り。HP 3PAR StoreServ 7200cは180万円から、同7400cは290万円から、同7440cは460万円から、7450cは460万円から。