米Facebookによる米WhatsApp買収計画について、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は無条件で承認するとの見通しを、複数の海外メディアが現地時間2014年9月25日に報じた。

 ECは今月初め、同買収計画を調査するために詳細なアンケート調査票を電気通信事業者やSNSサイト、インターネットサービスプロバイダーなどに送付したことが報じられていた(関連記事:欧州委、FacebookのWhatsApp買収に関して競合社などにアンケート実施)。

 米Wall Street Journalが関係者から得た情報によると、ECが審査にあたって任意で開く「state-of-play meeting」と呼ばれる会合が行われていないため、同買収計画は無条件で承認される可能性が高い。競争関連の調査では通常state-of-play meetingが開かれ、競争上の懸念について話し合われる。

 FacebookによるWhatsApp買収が競争を妨げるおそれはないと見る理由として、法律専門家らは、インスタントメッセージング市場がまだ初期段階にあり、新規参入の障害が低く、変化と成長が著しいことを指摘している。ECは10月3日に最終判断を下す予定(英Reuters)。

 Facebookは今年2月に、WhatsAppを買収することで両社が合意したことを発表した(関連記事:Facebook、メッセージングアプリ「WhatsApp」を約160億ドルで買収へ)。Facebookは8月29日に同買収計画をECに正式通知したが、それより前の5月に自ら同計画の審査をECに要請していたという。この行動は、各EU加盟国でそれぞれ独占禁止関連の調査を受ける可能性を回避するためと見られる。

 なお米国では、WhatsAppが従来のプライバシー原則を変更してユーザー情報をFacebookに渡す可能性があることを懸念したプライバシー擁護団体などが、3月に米連邦取引委員会(FTC)に調査を要求したが、FTCは4月に、プライバシー保護の義務について両社に忠告した上で、同買収を承認した(関連記事:FacebookのWhatsApp買収計画、FTCが釘を刺しつつ承認)。