「オフショア開発は、当社の成長エンジン」――。NTTデータベトナムで責任者を務める渡辺晃氏は、このように語る。同社は、独自開発したパッケージソフトを主力製品としながら、オフショア開発にも力を注ぐ。2014年2月には、新しい開発拠点を中部の都市ダナンに設置した(関連記事:富士通とNTTデータ、ベトナムの注目都市ダナンに新拠点)。オフショア開発は、ただ案件を大量に獲得すればよいというものではない。技術者の質と量の両面を強化しなければ立ち行かなくなる。中国でのオフショア経験もある渡辺氏に、NTTデータベトナムの現状と展望を聞いた。 

(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ


NTTデータベトナムの渡辺晃ゼネラルディレクター
NTTデータベトナムの渡辺晃ゼネラルディレクター
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ベトナムでの事業規模は。

 NTTデータベトナム全体で約200人の体制になっている。内訳は、ホーチミンに約100人、ハノイに約80人、今年新設した中部のダナン拠点に約20人。従業員の4分の3は、技術者が占めている。

手掛けている主な事業は。

 当社の主な事業は三つある。

 一つめは、物流向けパッケージ「L-Series」の開発、販売だ。当社は元々、ベトナムに進出する日系製造業や流通業の顧客を支援するために発足した。これらの顧客にL-Seriesを提案し、実装して納入する。これが一番大きな柱である。

 L-Seriesの利用顧客は現在50社程度。今のところ全て日系企業だ。ベトナム国外でも実績が出始めている。タイで既に受注が決まっている案件があるほか、シンガポールやオーストラリアからも引き合いが来ている。

 L-Seriesは、当社が開発した独自製品だ。倉庫管理、入出庫管理、実在庫管理、受発注管理、荷物追跡などの機能を備える。ハノイの部隊が製品開発を担っており、今も新機能の開発を続けている。

 最近は、顧客の要望を受けてモバイル機能をパッケージに盛り込んだ。代理店などが、スマートフォンで実在庫を確認しながらオーダーできる機能だ。ベトナムにおいてもスマートフォンの普及で、こうした機能へのニーズが強まっている。

 ひととおり必要不可欠な機能をそろえている点に加えて、低価格も強みの一つだ。「まずは話を聞いてみようか」と、顧客に応じてもらえる価格設定にしている。