2014年末、中堅・中小企業のIT化・システム導入のための情報サイト「ITpro Success(サクセス)」をスタートした。システム導入支援サイトといえば、既に「ITpro Active」をお読みの方も多いだろう。今回、あえて「中堅・中小企業」を対象にした姉妹サイトを作ったのは、その多くがIT化において大企業とは違う事情を抱えているためだ。

中堅・中小企業のIT化は「悩みの巣」

 国内には約385万社もの中堅・中小企業がひしめいている(中小企業庁調べ、2014年)。大企業(約1万社)に比べてその数は途方もなく多く、国内企業全体の99.7%を占めるほど。その多くがIT化に悩んでいる。

 例えば、従業員が100人という規模の企業を想像していただきたい。本格的な情報システム部門を構える大企業と違い、IT部門は小さく専門知識にも限界があり、ときには「兼任」「非専任」の担当者で切り回すことを余儀なくされる。あるいは、社長自らIT担当を兼ねなくてはならないといったケースも少なくない。

 システム導入のみならず、現場ユーザーのパソコン、スマホ、アプリケーションの使い方まで幅広く面倒を見なくてはならないのも、重い足かせだ。「よろずIT担当者」は勉強をする時間もなかなか取れない。大企業内においても、部署ごとに業務に合わせたIT化を進める例が増えており、こうした現場のIT担当も「小規模組織」という点で中堅・中小企業と同じような悩みを持っている。

 大企業では、プライベートクラウド構築やビッグデータ分析など、最新のシステム開発、大規模な投資が進められているが、小規模組織では、そうしたIT化には手が届かない。社内にあるのは、会計・販売・在庫管理などパソコンベースの業務ソフト、簡単なサーバー、それに取引先と受発注をやり取りする専用端末くらいという企業が多いのも、現実だ。

 だから、ITツールの導入・整備は「出入りの業者にお任せ」という、受け身の姿勢になりやすかった。