ヤフーは2016年6月23日に、個人情報やパーソナルデータの扱いを定めたプライバシーポリシーを全面改定する([速報]ヤフーがプライバシーポリシーを全面改定へ)。

 プライバシーポリシーは、ユーザーから集めたパーソナルデータの利用目的を定め、ユーザーの理解や納得を得るための文章であり、企業のデータ戦略の要ともいえるものだ。

 2016年1月に改正個人情報保護法が施行され、新たなパーソナルデータ利活用の枠組みが形成されつつある。その中で、ヤフーがプライバシーポリシーの全面改定に踏み切った理由は何か。今後、データ利活用の方針はどう変わるのか。ヤフーで法務などを担当する別所直哉執行役員に聞いた。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ


今回、プライバシーポリシーを全面改定するに至った経緯は。

ヤフーの別所直哉執行役員
ヤフーの別所直哉執行役員
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 今回のポリシー改定は、検討から作成まで1年近くかけた、社内横断の大きなプロジェクトだった。より読みやすく、分かりやすく、簡潔に、を目指して作成した。

 現行のプライバシーポリシーは、(2005年4月に全面施行された)旧個人情報保護法に基づいて作成したもの。同法に沿って個人情報の範囲を定義した上で、データの利用目的を丁寧に書き込んだ。

 だが時が経ち、ヤフーのサービスが増えるたびにポリシーにも追記する中で、かえってポリシーが複雑化し、分かりにくくなってしまった。

 このため新たなプライバシーポリシーでは、アプリやサービスに共通したシンプルなものにした。

 その一方で、代表的なアプリにおけるデータの利用目的について充実した解説も必要だと考え、あわせて「Yahoo! JAPANプライバシーガイド」を作成した。

 技術の発展に合わせて、ガイドの記述も柔軟に変える。ポリシー自体はシンプルにし、頻繁には変えない一方で、サービスや技術の変化に対してはガイドの記述を変えて対応するつもりだ。

ヤフーのプライバシーポリシーは、全てのサービスやアプリに横断的に適用されるという点は、米グーグルが2012年1月から適用を始めたポリシー(ITpro関連記事:Googleがプライバシーポリシーを改訂へ、各サービスのユーザー情報を統合)と同じ性質とみていいか。

 確かに、基本的な方針はグーグルに近い。企業としてのプライバシーポリシーは1本で、これがすべてのサービスをカバーしている。