サッカーのワールドカップがブラジルで開催中だ。オリンピックやW杯があると、過去の開催のとき自分がしていたことを思い出す。

 2002年の日韓W杯のときはその年の暮れ、世間を驚かすことになるIP電話の実現に向けてコンサルティングをしていた。「間違いだらけのネットワーク作り」の連載も始めたばかりで、その頃書いたコラムが「設計に必要な『鳥の眼』と『蟻の眼』」である。

 2006年ドイツ大会のときは積水化学の脱・ブランド/脱・専用線ネットワークの構築(関連記事:タイム・イズ・マネー---積水化学のネットワーク・リストラ)、2010年南アフリカ大会のときは銀行で「脱・Cisco」ネットワークを手掛けていた。「スマートデバイス」という言葉をいち早く使い、iPad向けに電話会議アプリを作ったりしたのもこの年である(関連記事:内線電話機にも、オンライン端末にもなるスマートデバイス)。

 さて、本論に入ろう。7年前はバズワードだったクラウドも、企業のIT戦略が所有から利用へと変革する中で、今やIaaSからSaaSまで広がりを見せている。成長の速い企業ではアプリを自社開発する時間を惜しみ、次々とSaaSを取り入れてマルチクラウド化が進んでいる。

 先日、複数のクラウドを使っている企業の方にネットワークの見積もりを説明したところ、「なぜキャリア網を使うのですか?」と質問をされた。インターネットを使ったほうが安いと思っているので、こんな質問をしたらしい。

網の構造もコスト構造も似ている

 筆者はこう説明した。「キャリアのネットワークも、インターネットも構造は同じようなものなのです。両者とも、コア部分とアクセス部分で出来ています。費用構造も同じです」。各拠点の見積もりも、コアネットワーク使用料+アクセス回線料になっていることを示した。インターネットではインターネット接続料+アクセス回線料と名前が違うだけである。次に説明すべきはどちらが安いか、ということだ。