この連載では「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱っている。前々回前回は、ダメ評価につながる11のネガティブ特性の三つ目である「うっかりが多い、思慮が浅い」について説明した。11のネガティブ特性は以下の通りである。

  1. 先を読まない、深読みしない、刹那主義
  2. 主体性がない、受け身である
  3. うっかりが多い、思慮が浅い
  4. 無責任、逃げ腰体質
  5. 本質が語れない、理解が浅い
  6. ひと言で語れない、話が冗長
  7. 抽象的、具体性がない、表面的
  8. 説得力がない、納得感が得られない
  9. 仕事が進まない、放置体質
  10. 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
  11. 駆け引きできない、せっかち、期を待てない

 今回は四つ目の「無責任、逃げ腰体質」というネガティブ特性を説明する。これは以下のような行動特性を表す。

仕事の最終的な成功あるいは失敗は、自分ではなく、他人の責任であると考える。何か不都合が生じると、とにかく早く逃げようとする

 「困難があっても逃げることなく、責任をもって仕事を成功させようとする」という行動特性とは、正反対である。

 このような特性を持つ人間は、仕事がうまくいかなくなると「君ができると言ったから許可したのに」「最初から気が進まなかった」といった具合に、失敗の原因を他人に押し付ける保身的な言い訳をするのが常だ。こうした人が上司である場合、部下を追い詰め、モチベーション(やる気)を大幅に下げることにつながってしまう。

 筆者は約20年にわたってシステム開発や保守の仕事を手がけてきた。その過程で、無責任・逃げ腰な上司によって、仕事で窮地に追い込まれるケースも多くあった。例えば、こんな具合である。

  • 上司にすぺての責任を負わされ、一人で問題を解決せざるを得なくなった
  • 上司が逃げ腰な態度をとるので、著しくモチベーションが下がり、適切な問題解決行動をとるのが困難だった

 実際に、「無責任、逃げ腰体質」な上司はプロジェクトにどんな影響を与えるのか。一つエピソードを紹介しよう。