前回までは11のネガティブ特性の2番目である「主体性がない、受け身である」について説明した。11のネガティブ特性は以下の通りである。
- 先を読まない、深読みしない、刹那主義
- 主体性がない、受け身である
- うっかりが多い、思慮が浅い
- 無責任、逃げ腰体質
- 本質が語れない、理解が浅い
- ひと言で語れない、話が冗長
- 抽象的、具体性がない、表面的
- 説得力がない、納得感が得られない
- 仕事が進まない、放置体質
- 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
- 駆け引きできない、せっかち、期を待てない
今回は三つ目の「うっかりが多い、思慮が浅い」というネガティブ特性を説明する。これは
自分が行う発言や行動、そのほかの他人への働きかけが、どのような結果をもたらすかを考えることをしない。または考えることができない
という行動特性を表す。「十分に考えつくし、熟考したうえで発言や行動をする」という行動特性の逆である。
こうした特性を持つ人は、「そんなつもりではなかった」「そのような結果になるとは想定できなかった」「悪気はなかった」などと言い訳するケースが多い。自分の採った行動が間違っていたとは決して認めないのである。
「うっかりが多い、思慮が浅い」というネガティブ特性は、早急に改善する必要がある。このような人がプロジェクトに参加すると、プロジェクトを窮地に追い込んだり、他人を巻き添えにするなど全体を悪い方向に導いてしまうからだ。
筆者はこれまでの20年間、主にシステム開発や保守の仕事を手がけてきた。自分が担当していたプロジェクトが窮地に陥ったことも数多くある。
窮地に陥った理由はさまざまある。中でも強く印象に残っている事例を今回は紹介したい。あるメンバーの「うっかり」した「思慮の浅い」行動によって、顧客や開発側の上層部などの影響力をもった立場の人を怒らせ、プロジェクトが悪い方向に動いてしまったケースである。