記者は20年近くWindowsの記事を書いてきた。最近書いたものをざっと挙げてみよう。
- Vistaが『遅い』と感じませんか?
- Vistaが「遅い」と感じませんか?その2
- 64ビット版Vista最大の欠点
- 会社メイン機をWindows 7製品版にして思うこと
- シェイプアップに成功,Windows 7製品版の実力
これらの記事にはある共通点がある。「64ビット(x64)のWindowsを使ってみようよ!」というニュアンスをにじませていることだ。しかし,それをはっきりとは書いていない。一般的なパソコン・ユーザーにとって64ビット版Windowsを使うメリットが何なのかが,なかなかわからなかったからだ。
ソフトウエア開発者やコンピュータ関連のエンジニアにとってのメリットはわかりやすい。「64ビットWindowsを学べる」「テストできる」という理由がある。将来64ビットが主流になることは間違いないのだから,情報収集で一歩先へ進んでおくことは,投資として必ず意味がある。ためらうことなく,64ビットWindowsの利用をお勧めできる。
だが,普通のパソコン・ユーザーは,特に一歩先んじる必要がない。そんな人たちも,64ビットのWindowsを使うメリットはあるのだろうか? 記者はこれまで,この疑問に明確に答えることができなかった。
しかし,今なら言える。64ビット版Windows 7を使う最大のメリットは,アプリケーションの起動が高速化し,小気味よくパソコンを使えることだ。一度慣れたらやめられないほどの快適さがある。
Excelが1秒かからずに起動
例えば,記者が会社でメイン機として使っているパソコン(Athlon 64 X2 4600+,メモリー8Gバイト,ディスク500Gバイト,Windows 7 x64)では,マイクロソフトの表計算ソフト「Excel 2007」が1秒かからずに起動する。開発ツール「Visual C++ 2008 Express Edition」の起動は,1度目は1秒かかったが,2度目と3度目は1秒かからなかった。
Windows開発者向け情報が詰まった「MSDNライブラリ」のビューアーは,1度目が2秒,2度目と3度目が1秒だった。Windows技術者向けの「Technetライブラリ」も同様だ。

オープンソースの統合開発環境として有名な「Eclipse」は1度目が8.013秒(図1),2度目が6.914秒,3度目が6.898秒だった。エンバカデロ・テクノロジーズの開発ツール「Delphi 2010 Architect」は,1度目が11秒,2度目と3度目が7秒だった。CPUがデュアル・コアでさほど速いものではないにもかかわらず,アプリケーションの起動時間は驚くほど短い。