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松田次博 間違いだらけのネットワーク作り

本当はそれほど安くないAsteriskによるIP電話

2009/03/23 ITpro

 3月中旬,1年ぶりに神宮外苑にある明治記念館で講演した。一千坪という広い庭には松をはじめ常緑樹が多く,好天のおかげで緑が一層きれいに見えた。講師は積水化学コーポレート情報システムグループの寺嶋一郎氏と筆者の二人だ。寺嶋さんとはネットワーク・リストラの仕事以来,お付き合い頂いている。

 積水化学はオープンソースを使って高機能なメール/グループウエアを自社開発するなど,ブランドや流行に流されず主体的で先進的な取り組みをされている企業だ。寺嶋さんは筆者と大学が同窓で,年齢も同じ,出身も同じ四国ということで,これまでにも何回かアベック講演をお願いしている。

 まず寺嶋さんがIT部門のコスト削減の取り組みについて講演し,続いて筆者が「常識を捨てて考える企業ネットワーク」と題して講演した。講演の主題の一つは「オープンソースを積極的に活用しましょう」だ。具体例として積水化学のメール/グループウエアと有償版Gmailの比較をし,前者が機能的にもコスト的にもGmailと遜色ないことを紹介した。

 参考として,秋田県大館市が採用したことで話題になったオープンソースのIP電話サーバー,AsteriskとIP-PBX(有償ソフトを使ったIP電話サーバー)のコスト比較も行った。今回はこの比較と「ユーザーの主体性」,「プロとアマの役割分担」について述べたい。

AsteriskとIP-PBXのコスト差

 2月10日のITproに「見積もり2億円のIP電話を820万円で構築した秋田県大館市から学べること」という記事が掲載された。大方の人はプロが2億円で見積もったものを,アマチュアがフリーソフトを使って820万円で作ったと理解し驚いたようだ。しかし,筆者は大きな疑問を感じた。2倍程度のコスト差なら,そんなものかな,で見過ごしただろう。20倍を超える差は違和感を生んだ。現在は電話に注力していない筆者も,かつてはIP電話ブームを起こした東京ガス・IP電話をはじめ,IP電話を積極的に手掛けていた。IP電話構築における費用の要素や割合が頭に入っているので,Asteriskを使っても20倍を超える差はつくはずがないと直感したのだ。プロの一人として違和感を解消することにした。

 記事を読んですぐに104で大館市役所の代表電話番号を調べ,構築を担当した方に電話をした。電話とメールでヒアリングさせて頂き,2億円と820万円では見積もり条件が大きく違うことが分かって納得した。

 では同じ条件で無料IP電話サーバソフトであるAsteriskと有償ソフトを使うIP-PBXを比較するとどの程度の差になるのだろうか。単純なモデルで比較してみよう。図1に示したモデルの内容は以下のとおりだ。

図1●IP電話のモデル
図1●IP電話のモデル
  • 一つのビルで多機能タイプのIP電話機500台を使ったIP電話システムを構築
  • 電話音声用のLANを既存のデータ系LANと独立に新設する
  • 配線工事は壁貫通工事などのない簡単な工事だけとする
  • IP電話サーバー,外線収容GW(ゲートウェイ)は二重化する
  • 外線としてひかり電話100チャネルを使う(光ファイバ1本で100チャネルまで利用できる)

 このモデルを標準価格でなく,値引き後の実勢価格で見積もったのが表1だ。サーバー(IAサーバー),外線GW(ゲートウエイ),IP電話機,ネットワーク機器などのハードはIP-PBXであれ,Asteriskであれ,高い製品を選択すれば高いし,安いものにすれば安いので同じにした。数の多い電話機はコストに響くのだが,機能ボタンやディスプレイのついた多機能電話機は標準価格が2万4000円程度,実勢価格が1万5000円程度だ。数が多ければさらに値引きがあるし,質の悪いもので良ければ1万円を切る製品もある。

表1●モデルによるIP-PBXとAsteriskのコスト比較(単位:万円)
  IP-PBX Asterisk
サーバー(二重化) 60  60 
ライセンス 600 
外線収容ゲートウエイ(二重化) 120  120 
IP電話機(500台) 750  750 
ネットワーク機器 400  400 
設計・配線工事 1000  1000 
合計 2930  2330 

 設計・配線工事はプロがやった場合で1000万円程度だ。プロが設計・工事するのと,アマチュアであるユーザーが自分でするのとどちらが安く出来るだろうか。PBX工事業者の人件費は筆者の経験から言うと,とても安い。企業や官公庁の人材が時間をかけて勉強し,慣れない設計や工事をするよりもプロに任せた方が安くなる可能性が高いだろう。ドキュメントや配線の仕上がりはプロの方がきれいなことは間違いない。

 このように条件をそろえて比較するとIP-PBXとAsteriskのコスト差はサーバーソフトのライセンス分しかなく,全体では20%の差でしかない。

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