米VeriSignの子会社であるiDefenseは米国時間12月7日に,「大量の電子メールを送信する『Sober』ワームの新たな亜種が,2006年1月5日に攻撃を仕掛ける可能性がある」と,警告を発した。このため,1月5日にインターネット・トラフィックの急増が懸念される。「1月5日はナチス党結成の87周年記念に当たり,翌6日にドイツで大がかりな政治集会が開催されることから,この日に照準を合わせているようだ」と同社は推測する。

 Soberワームは2003年10月の出現以来,約30種類もの亜種が報告されている。電子メールがドイツ語あるいは英語で記述されていることから,「ワームの作成者はドイツ語圏の個人もしくはグループと考えられる」(同社)。

 11月22日に出現した亜種を,iDefense社がリバース・エンジニアリングと暗号分析を行ったところ,来年1月5日にコードをダウンロードするように設計されていることがわかった。この亜種は,11月16日の登場した別のSober亜種によって感染を広げたものだ。ちなみに,11月22日はドイツ初の女性首相が選出された日である。

 VeriSign社iDefense Security Intelligence Services部門担当副社長のJoe Payne氏は,「政治的な目的で悪意のあるコードを使う“hacktivism(hackとactivismによる造語)”の危険を過小評価しないことが重要」と述べている。

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