米CodeWeaversは,Linux上でWindowsアプリケーションを動作させるためのソフトウェアの新版「CrossOver Office 5.0」を米国時間10月26日に発表した。新版では,「Microsoft Office 2003」のサポートやWindowsアプリケーションのインストール機能の強化などを追加している。

 また,新版には同社が支援するWine Projectが同日発表したオープンソースのWindows APIエミュレータ「Wine 0.9」のベータ版に追加されたアップグレードが組み込まれている。

 CrossOver Officeは,Linux上でMicrosoft Office,Outlook,Visio,Internet Explorerをはじめ,Adobe社のPhotoshop,Macromedia社のDreamweaver,Intuit社のQuicken,QuickBooks,Lotus Notesといった主要なWindowsアプリケーションの操作を可能にするもの。

 同社は,Wine Projectのおもな技術提供者であるため,同社の技術がCrossOver OfficeとWineの両方に反映されている。しかし,CrossOver Office 5.0では,Linuxマシン上に仮想化した別のWindowsプラットフォームを作成する「Bottles」などの新機能が追加された。

 新しい仮想化技術のBottlesは,アプリケーションのパッケージ化を支援する。同機能により,ITスタッフは,導入されるWindowsアプリケーションのカスタム・パッケージを作成して管理することができるようになる。その他にも,新版ではDirectX APIのサポートを強化している。

 Wine Projectは,UNIX上でWindows 3.1アプリケーションを実行できる環境の実現を目的として1993年にスタート。その後,Win32 APIにも対応するようにプロジェクトは継続され,現在のプリケーション・ステータスはベータ版となっている。

 新版のWine 0.9では,必要なDLLのすべてが標準装備されるためMicrosoft社からDLLをダウンロードする必要がなくなった。また,インストーラに改良を加えたため,多くの場合でスムーズなインストールが可能になっている。新版のすべての改良点がCrossOver Office 5.0に加えられている。

 CrossOver Office 5.0の価格は,スタンダード版が39.95ドル,プロフェッショナル版が69.95ドル。同社のオンライン・ショップから購入できる。ボリューム・ディスカウントも用意されている。

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