調査内容 2009年第2四半期IT予算の分野別前年同期比増減率,分野別予算額
調査時期 2009年6月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3211件(1100件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2009年6月調査で,2009年第2四半期(2009年4月~6月期)のIT予算の前年同期比増減率を,適用業務アプリケーションやITインフラの分野,ハード/ソフト別などに細分して聞いた。

 2009年第1四半期(1月~3月)(前回2009年3月調査,1Q実績)に続き,今回の調査でも提示した全23分野の四半期予算の前年同期比増減率の平均値は,すべてがマイナス(平均の算出方法は下の「調査概要」参照)。その幅は前回の第1四半期の-8.7%~-32.7%に対し,今回は-18.5%~-42.2%と,約10ポイント下のレンジにずれこんだ(図1)。

 減少率の平均値が最も大きかったのは「経営戦略系」と「新規システム開発」の-42.2%。「ハードウエア購入」も前年同期比40%以上の平均減少率を記録した。逆に,前年同期比の予算減少率が小さかった分野は,「特定業種業務(銀行勘定系,自治体徴税,医療情報化など)」の-18.5%で,「既存システムの再構築」(-25.9%)と「運用・保守開発」(-27.6%)が前年同期比20%台の平均減少率。システム・インフラ系の8分野を含めて,残りの分野はすべて前年同期比30%台の平均減少率となった。

3カ月前より減少率が大幅に拡大した「EA」「経営戦略系」

 前回2009年3月調査での各分野の前年同期比増減率の平均値に対し,今回は全23分野ともマイナス幅が拡大した。その中で最も大きく悪化したのは,約28ポイント・ダウンした「エンタープライズ・アーキテクチャー(EA)」(前回-8.7%)。約23ポイント・ダウンした「経営戦略系」,約22ポイント・ダウンした「運用・危機対策系」と「物流」も目立つ。「EA」「運用・危機対策系」「物流」は前回2009年3月調査では前年同期比の平均減少率が小さいトップ3だった分野で,「経営戦略系」も5番目に小さかった。

 前回2009年3月調査で4位(-15.3%)の「特定業種業務」アプリケーションだけは今回も前年同期比の平均減少率で10%台をキープしたが,その他の分野はみな他のアプリケーションやインフラ分野と横並びの,「前年同期比で平均30~40%削減」のレンジに引きずり下ろされた形である。

予算の平均額では基幹業務アプリケーション系が前四半期より大幅増

 一方,同じ23分野の四半期予算の平均額(図2,算出方法は下の「調査概要」参照)で見ると,8分野が前回2009年3月調査での1Q実績に比べて平均額が減少,16分野の平均額が増加した。

 このうち,平均額が1Q実績と比べて1000万円以上増加したのは,「CRM・顧客関連」(約2500万円増),「SCM」(約1660万円増),「生産管理」(約1390万円増),「人事・給与」(約1220万円増)の4分野。「物流」の平均予算額も前四半期と比べ約1000万円増えており,業務アプリケーション系の5分野が1Q実績比での平均予算増額の上位を占めたことになる。

 逆に平均予算額が1Q実績に比べて減少したのは,【目的別】の「新規システム開発」(1Q実績の平均約1480万円→今回は約810万円)が約670万円減で突出。次いで「既存システムの再構築」が約290万円減,業務アプリケーションの「経営戦略系」が約250万円減,「特定業種業務アプリケーション」と「ハードウエア購入」が約200万円減。「ソフトウエア購入」も約55万円減。インフラ系では「ネットワーク系(WAN,LAN,電話)」が約130万円,「アプリケーション(システム)間連携基盤系」が約100万円,平均予算額が1Q実績比でそれぞれ減少した。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム分野の予算(四半期分)と前年同期比増減率を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく,四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 また本文中の「平均の予算額」は,選択式回答の「本四半期はゼロ」を0,「100万円未満」を50万円,「100万円以上300万円未満」を200万円,「300万円以上1000万円未満」を650万円,「1000万円以上3000万円未満」を2000万円,「3000万円以上5000万円未満」を4000万円,「5000万円以上1億円未満」を7500万円,「1億円以上3億円未満」を2億円,「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 調査実施時期は2009年6月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3211件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1100件。

図1●最新四半期(2009年4月~6月)IT予算の分野別前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ範囲)
図1●最新四半期(2009年4月~6月)IT予算の分野別前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ範囲)
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図2●最新四半期(2009年4月~6月)の分野別IT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)
図2●最新四半期(2009年4月~6月)の分野別IT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)
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