調査内容 2009年の注目分野へのIT投資額の増減率予想
調査時期 2008年1月下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2414件(1035件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,最近話題の28分野(下記「調査概要」を参照)へのIT投資額の来年(2009年)の伸び率の予想を聞いたところ,平均増加率のトップは「NGN(Next Generation Network)対応の通信機器:音声・動画系用途」(2008年比86.2%増)と「同:高速データ通信系用途」(同85.2%増)のNGN勢。続いて2008年比約80%増のほぼ横一線で「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」(同81.7%増),「企業内blog,企業内SNS,企業内Wiki」(同79.6%増),「RFID(無線ICタグ)」(同79.5%増),「SaaS(Software as a Service),ASPサービス」(同78.4%増)の4分野が上位を占めた。2007年6月調査(以下前回調査)で聞いた「2008年度の増減率予想」の結果と比較すると,NGN勢のトップをはじめとして,上位の顔ぶれはあまり大きく変わっていない。

2008年春~下期に投資を開始するのは仮想化,ブレード,ITIL,ICタグ

 前回調査と比較可能な16分野の中で,最も増減率予想の値が低下したのは「サーバー仮想化」(前回84.8%増→今回64.5%増),次いで「ストレージ仮想化」(同87.1%増→今回68.3%増)だった。この両分野についての回答の内訳を見ると,前回調査では「前期はゼロ(2007年度はゼロだが,2008年度に予算がつく)」の比率が47~48%あったのに対し,今回の「今年はゼロ(2008年はゼロだが,2009年は予算がつく)」は35~38%で約10ポイント低下。その分はほぼ「今年(前期)なみ」の回答比率の増加に回っている。これが両分野の増減率予想の値を下げた原因だ。

 7カ月前の前回調査との差分に注目すると,「サーバー仮想化」や「ストレージ仮想化」への投資を「2008年4月~12月の間に始める」意思を固めたユーザーが,全体のおよそ1割を占めたと考えられる。同様に「ブレード・サーバー」,「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)第3版」,「RFID」の3分野も,前回調査での「前期はゼロ」と比べて今回調査の「今年はゼロ」の比率が8~12ポイントも低下。その分「今年(前期)なみ」の比率が上がっている。2008年春から下半期にかけて,これらの5分野の商談が動き出しそうだ。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者に,以下のITキーワード28種を挙げて,今年(2008年),来年(2009年),3年後(2011年)の投資意向を聞いた。
 「内部統制:業務処理統制」,「内部統制:IT全般統制」,「基幹業務パッケージ(ERPなど)」,「CRM(顧客情報管理)システム」,「RFID(無線ICタグ)」,「企業内blog,企業内SNS,企業内Wiki」,「企業内IP電話,無線IP電話」,「NGN(Next Generation Network)対応の通信機器:音声・動画系用途」,「NGN対応の通信機器:(音声・動画以外の)高速データ通信系用途」,「サーバー仮想化」,「ストレージ仮想化」,「ブレード・サーバー」,「シンクライアント」,「SaaS(Software as a Service),ASPサービス」,「SOA (サービス指向アーキテクチャ)」,「ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)第3版」の16種は,2007年6月調査と共通。今回新たに「情報漏洩対策」,「基幹システム(自社開発での再構築)」,「基幹システム(パッケージのバージョンアップないしリプレース)」,「モバイル活用(ネットワーク・サービス)」,「モバイル活用(クライアント,端末)」,「BCP/ディザスタリカバリ」,「BI/KM/データ・ウエアハウス」,「Windows Vista」,「Windows Server 2008」,「IT投資対効果測定の標準化,定量化」,「内部要員のスキル・レベル確認」,「内部要員のレベルに応じたスキル養成」の12種を加えている。
 2009年については,「御社において上記各分野への投資は,今年(2008年)よりどの程度の増減になると予想されますか」(最も近いものを一択)という形で,選択式で回答を求めた。本文中の「平均増加率」は,選択式回答の「完全に削減(2008年はゼロではなかったが,2009年はゼロになる)」を-100%,「今年の50%未満」を-75%,「50%以上80%未満」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「今年なみ」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「今年はゼロ(2008年はゼロだったが,2009年は予算がつく)」を+200%に換算して平均した。
 調査実施時期は2008年1月下旬,調査全体の有効回答は2414件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1035件。

図●来年(2009年)の注目分野別IT投資額増減率予想