調査内容 2008年度の注目分野へのIT投資額の増減率予想
調査時期 2007年6月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 1661件(659件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,IT16分野(下記「調査概要」を参照)への来年度(2008年度)の投資額の伸び率の予想を聞いたところ,平均増加率のトップは「NGN(Next Generation Network)対応の通信機器:音声・動画系用途」(2007年度比96.2%増)と「同:高速データ通信系用途」(同95.7%増)のNGN勢が独占。図示していないが,ともに55%超の回答者が「2008年度に初めて投資する」(2007年度の予算はゼロだった)とした。

 これに次いで投資額の平均増加率が高かったのは,ITサービス管理・運用指針ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の,2007年5月末に公表されたばかりの大改訂新版「ITIL第3版」(同92.9%増)と,システム間連携における基盤技術「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」(同91.0%増)。ともにITの基盤として全組織的・中長期的に取り組む必要がある分野が,投資の伸び率上位に挙がってきた。「RFID(無線ICタグ)」もSOAと並んで2007年度比91.0%増と9割以上の予算増が予想されている。

 「SaaS(Software as a Service),ASPサービス」も,昨日の記事で紹介した「2007年度のIT投資予想額」では8割近く(77.8%)の回答者が「2007年度の投資額はゼロ」としていたが,2008年度の増減率では,48.9%の回答者が「2008年度に初めて投資する(2007年度はゼロだったが,2008年度は予算がつく)」とした。2007年度に対して投資増,投資減という回答も含めると,“SaaS/ASPへいくらかでも投資する”という回答の合計は約83%。2007年度と2008年度では,「SaaSを使う/使わない」の勢力図が逆転する。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者に,以下のITキーワード16種を挙げて,今年度(2007年度),来年度(2008年度),3年後(2010年度)の投資意向を聞いた。
 「内部統制:業務処理統制」,「内部統制:IT全般統制」,「基幹業務パッケージ(ERPなど)」,「CRM(顧客情報管理)システム」,「RFID(無線ICタグ)」,「企業内blog,企業内SNS,企業内Wiki」,「企業内IP電話,無線IP電話」,「NGN(Next Generation Network)対応の通信機器:音声・動画系用途」,「NGN対応の通信機器:(音声・動画以外の)高速データ通信系用途」,「サーバー仮想化」,「ストレージ仮想化」,「ブレード・サーバー」,「シンクライアント」,「SaaS(Software as a Service),ASPサービス」,「SOA (サービス指向アーキテクチャ)」,「ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)第3版」の16種である。
 2008年度については,「御社において,次の各分野への投資は,前年度(2007年度)に対しどの程度の増減になると予想されますか」(最も近いものを一択)という形で,選択式で回答を求めた。本文中の「平均増加率」は,選択式回答の「完全に削減(2007年度はゼロではなかったが,2008年度はゼロになる)」を-100%,「前期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満(2割以内の減少)」を-15%,「90%以上110%以内(ほぼ前期なみ)」を0%,「110%超120%以内(2割以内の増加)」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超(倍増を超える)」を+125%,「前期はゼロ(2007年度はゼロだったが,2008年度は予算がつく)」を+200%に換算して平均した。
 調査実施時期は2007年6月中旬,調査全体の有効回答は1661件,うち情報システム担当者の有効回答は659件。

図●来年度(2008年度)の注目分野別IT投資額増減率予想