調査内容 下半期(2007年10月~2008年3月)予算の前年比増減率(分野別)
調査時期 2007年10月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2173件(877件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った2007年10月調査では,2007年4月調査に続いて,「年度半期の投資予算」についての調査を実施した。2007年度下半期(2007年10月~2008年3月)の分野別のIT予算の前年同期比増減率は,適用業務8分野が16~28%増,インフラ7分野は11~19%増,目的別(「新規」「再構築」「運用・保守開発」)は「新規」「再構築」が20%台前半で「運用・保守開発」が約8%増,ハード/ソフト別はともに15%前後の増加だった。

 2007年9月調査での「2007年7月~9月四半期予算」が全分野で前年同期比マイナスという結果だったのと比較すると,今回の2007年度下半期(2007年10月~2008年3月)の予算は再びIT投資が堅調に戻ったことを伺わせる。しかし,2007年4月調査での上半期予算の前年同期比伸び率と比較すると,「既存システムの再構築」が約5ポイント上回ったのと,「生産管理系」,「アプリケーション(システム)間連携基盤系」「ソフトウエア購入」の3分野が上半期の伸び率から微増だった以外,ほとんどの分野が上半期の伸び率からダウンしている。

「SFA」「CRM」「経営戦略系」の伸び率が上半期の半分に

 業務アプリ分野では,2007年度上半期(2007年4月~9月)に前年同期比33%以上の大幅増を示した3分野(「SFA・営業系」「CRM」「経営戦略系」)が,今回はそろって約半分の伸び率に低下。その他の5分野は微増だった「生産管理系」も含め,上半期の前年同期比増減率から5ポイント以内の小幅な変動に収まっている。

 業務横断的なシステム・インフラ分野でも,上半期の調査で約25%以上の高い前年同期比増加率を示した「ストレージ系」「情報系」「セキュリティー」,それに上半期は15.6%増だった「ネットワーク系」の4分野が5~10ポイント下げ,他の3分野は1ポイント以内の変動だった。

 目的別での下半期予算の前年同期比増減率は,2007年9月調査での7月~9月四半期予算とほぼ同じ傾向で,「既存システムの再構築」は上半期を上回る高い伸び率。「新規システム構築」も上半期の伸び率を約2ポイント下回ったものの,前年同期比20%台の増額で比較的堅調。これに対し7月~9月四半期予算がマイナス8.8%と大きく前年同期を下回った「運用・保守開発」は,上半期の11.1%増からさらに約2ポイント低下し,伸び率が10%を切った。

 ハード/ソフト別予算は,2007年9月調査での7月~9月四半期予算で「ハード購入」が前年同期比ほぼ横ばい,「ソフト購入」は約10%減と明暗が分かれたが,今回の下半期(2007年10月~2008年3月)予算では上半期と同様,さほど差はない。むしろ「ソフト購入」が上半期とほぼ同じ前年同期比約16%増を維持したのに対し,「ハード購入」が上半期の伸び率と比べて約2ポイント低下した。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,調査時期を期初とする半期(10月調査であれば10月~翌年3月期)の予算の前年同期比増減率を聞いた。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答の「完全に削減」を-100%,「昨年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「昨年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 なお,2007年9月調査などで実施した「四半期予算」調査は「回答者が予算執行・承認の権限を持つシステム」を対象に,調査時期を期末とする四半期(9月調査であれば7月~9月期)の予算額(金額帯)と前年同期比増減率の回答を求めている。一方,今回および2007年4月調査で実施した「半期予算」調査は「回答者の担当・関与しているシステム」の範囲を対象に,調査時期を期初とする半期(10月調査であれば10月~翌年3月期)予算額と増減率の回答を求めている。
 ちなみに今回の調査では,担当・関与しているシステムの範囲を「全社システム」とする回答数が約590件,「部門/事業所/ワークグループのシステム」のみとする回答数が約290件だった。
 半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合も,それらの本半期分の総計額について回答を求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めないものとした。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 調査実施時期は2007年10月中旬,調査全体の有効回答は2173件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は877件。

図●2007年度下半期(2007年10月~2008年3月)IT予算の分野別前年同期比増減率(回答者が担当しているシステムの範囲)