日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った2007年4月調査では,新たに「年度半期の投資予算」についての調査を実施した。2007年度上半期(4月~9月期)の分野別のIT予算の前年同期比増減率は,適用業務8分野が全て20%以上。インフラ7分野と,目的別(「新規」「再構築」「運用・保守開発」)とハード/ソフト別の5分野も全て10%以上の大きな伸び率を示した(それぞれの分野の「その他」を除く)。

 適用業務分野別の前年同期比の予算増加率は,「SFA・営業系」が48.9%で最も大きく,次いで「CRM」と「経営戦略系」が35%弱。この「CRM」と「経営戦略系」の両分野は,2007年3月調査で聞いた2007年1月~3月四半期の予算でも,5割近い大きな前年同期比増加率(回答数が20件台のため参考値)を示していた。2007年度上半期はこのほか,適用業務分野の「会計」と,インフラ分野の「ストレージ系」が,3割前後の大幅な増加率となっている。

 ハード/ソフト別では「ハード購入」「ソフト購入」の予算がそろって前年同期比約16%増(2007年1月~3月四半期予算調査でもそろって同約11%増)。「新規システム」と「既存システムの再構築」の予算は前年同期比約2割の増加が見込まれるのに対して,「運用・保守開発」(信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守)予算は同約1割増にとどまった。

◆注
 調査実施時期は2007年4月中旬,調査全体の有効回答は1688件,うち情報システム担当者の有効回答は783件。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答の「完全に削減」を-100%,「昨年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「昨年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 なお,過去の「四半期予算」調査では「回答者が予算執行・承認の権限を持つシステム」を対象に,予算額(金額帯)と前年同期比増減率の回答を求めた。今回の「半期予算」調査では,「回答者の担当・関与しているシステム」の範囲を対象に予算額と増減率の回答を求めている。ちなみに今回の調査では,担当・関与しているシステムの範囲を「全社システム」とする回答数が約500件,「部門/事業所/ワークグループのシステム」のみとする回答数が約280件だった。
 半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合も,それらの本半期分の総計額について回答を求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めないものとした。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。

図●2007年度上半期(2007年4月~9月)IT予算の分野別前年同期比増減率(回答者が担当しているシステムの範囲)