調査内容 主要インテグレータへの満足度(提案力,プロジェクト管理能力,業務・業界知識)
調査時期 2007年8月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2138件(978件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象として2007年8月に実施した調査では,国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)を対象に,利用者の満足度を聞いた。本日の記事ではSIerに対する満足度のうち,コンサルティング的要素の強い「提案力」「プロジェクト管理能力」「業務・業界知識」の3項目の結果を掲載(前回2007年2月の調査結果は3月27日付け記事を参照)。明日(10月4日)公開の記事では,SIerに対する実務的な「システム構築力」「運用サービス力」と「サービス料金」満足度,それに6項目の総合満足度の結果(前回2007年2月の調査結果は3月28日付け記事を参照)を紹介する。

「提案力」はNTTデータをIBMサービス,ゼロックス,電サが追う

 SIerの満足度は,全6項目とも有効回答数が30以上に達した対象企業が22社(前回2007年2月調査では14社),このうち「提案力」「プロジェクト管理能力」「業務・業界知識」の3項目とも回答数50以上に達した企業は17社(前回2007年2月調査では7社)だった。

 3項目とも100回答以上を集めたSIer 8社の中で,「提案力」満足率INDEX(算出方法は下記の注釈参照)は,NTTデータがトップの51.9%。次いで日本アイ・ビー・エム・サービス(ISC-J)の50.8%,リコーの49.3%の順となった。前回はNTTデータが30回答以上の14社中3位,リコーが14社中2位,ISC-Jは回答数不足でランク外だった。

 50回答以上の17社で見ると,富士ゼロックスの50.0%がリコーを上回って3位に食い込み,日立電子サービス(日立電サ)も49.3%でリコーと同率4位となる。ゼロックス,日立電サとも前回は回答数不足でランク外だった。50回答以上の17社の「提案力」平均満足率INDEXは42.6%で,100回答以上の8社中の8位はNECフィールディング(32.6%),50回答以上の17社中の17位は日本ビジネスコンピューター(25.0%)だった。

「プロジェクト管理能力」では前回上位のリコーとFsasが後退

 17社の平均満足率INDEXが6評価項目中最低の38.3%だった「プロジェクト管理能力」満足率INDEXは,100回答以上の8社ではISC-Jが48.9%で,NTTデータ(48.3%)をわずかにかわしてトップ。この両社が突出した評価を得ており,3番手のキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ,41.4%)以下はダンゴ状態だ。50回答以上の17社では,日立電サが17社中唯一50%を超す50.6%を獲得。富士ゼロックスが47.7%で上位4社の集団につけた。

 100回答以上の8社中の8位は,前回2007年2月調査,前々回2006年11月調査ではNTTデータと首位を争っていた富士通エフサス(Fsas,旧富士通サポート&サービス,34.6%)。50回答以上の17社中の17位はオービック(23.9%)だった。前回調査では30回答以上の14社中「プロジェクト管理能力」首位だったリコーも,Fsasと同じく今回は大きく後退。17社平均を下回る満足率INDEX38.0%だった。

“上流”3項目はNTTデータとIBMサービス,電サ,ゼロックスの4社が平均50%超

 「業務・業界知識」満足率INDEX(17社平均50.2%)では,ISC-Jがトップの60.1%。100回答以上の8社では次いでNECソフト(54.8%),NTTデータ(53.9%)の順だった。50回答以上の17社中ではISC-Jに次いで日立電サ(57.6%)と富士ゼロックス(56.3%)が上位を占めた。

 前回,前々回調査では「業務・業界知識」でNTTデータとともに3強を形成していた,伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と大塚商会は今回大きく後退。CTC(52.8%)は17社平均を上回ったものの17社中の6位,大塚商会(46.0%)は100回答以上の8社中8位という結果だった。50回答以上の17社中の「業務・業界知識」17位はオービック(38.0%)だった。

 “上流”3項目の満足率INDEXの平均では,ISC-J(53.3%),日立電サ(52.5%),NTTデータ(51.4%),富士ゼロックス(51.3%)がトップ集団で,NECソフト(46.7%),キヤノンMJ(46.1%),リコー(46.0%)が2番手グループ。17社平均(43.7%)の前後に富士通ビジネスシステム,大塚商会(ともに43.9%),新日鉄ソリューションズ(43.5%),CTC(43.4%)の4社が固まった。トップ4社のうち3社は前回調査で30回答以上を得ておらず,前回調査で“上流”3項目首位だったNTTデータの強さが目立つ結果だ。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,主要インテグレータに対する満足度を聞いた。
 「提案力」「プロジェクト管理能力」「業務・業界知識」「システム構築力」「運用サービス力」「サービス料金」の六つの満足率INDEXはいずれも,まず「評価対象のSIerを利用しているか」,「評価項目に該当するサービスやソリューションの提供を受けているか」の二つの設問を提示。ともに「該当する」とした回答者数(有効回答数)を,そのSIerのその評価項目についての100%とし,その評価項目に「満足」とした回答者の比率(%)を「満足率INDEX」とした。
 大手SIerの中からメーカー系/独立系や専門分野などのバランスを考えて,本図の17社のうち富士ゼロックスを除く16社と富士ソフト,兼松エレクトロニクス(旧メモレックス・テレックスを含む),ネットワンシステムズ,TISの合計20社をピックアップし,有効回答者全員に評価を求めた。全6項目とも有効回答数が30以上に達した対象企業22社は,以上の21社とNECネクサソリューションズであった。
 NECソフトについては,九州,中部など各地のグループ会社を含めて評価するよう求めた。富士ゼロックスなどその他の大手SIer 48社については,SIerと回答者をそれぞれ3グループに分けて,各回答者に16社だけを提示し評価を求めた。評価対象企業全68社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。
 なお本文中で紹介している前回2007年2月調査と前々回2006年11月調査では,選択式回答の「大変満足」を100,「やや満足」を67,「やや不満」を33,「大変不満」を0点にスコア換算して平均した「満足度INDEX」を表示していた。
 調査実施時期は2007年8月下旬,調査全体の有効回答は2138件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は978件。

図1●主要システム・インテグレーターの提案力,プロジェクト管理能力,業務・業界知識への満足度(回答数100以上)

図2●主要システム・インテグレーターの提案力,プロジェクト管理能力,業務・業界知識への満足度(回答数50以上100未満)