日経マーケット・アクセスが2007年6月~7月に,NGN(次世代ネットワーク)についてのアンケート調査を行った。その結果から企業ユーザーのNGN上の様々なサービスについての期待値の調査結果を報告する。

15個のサービスを調査

 NGNには,従来の電話網やインターネットと比べて様々な機能がある。例えば電話網と比べると,電話の音声帯域である3.4kHzに限定されなくなることや,様々な回線・端末で同じサービスをシームレスに利用できるようなサービスが可能になる。また,インターネットと比べると,優先制御や帯域管理の機能を動的に設定したり,回線レベルでの安全性の高い認証が使えるなどがある。こういった機能を使ってNGNの上では様々なサービスが利用できるようになる見込みである。

 そこで,このアンケートでは想定されるサービス15種(表1)について回答者に使ってみたいかどうかを聞いた。サービス内容で見ると,(1)電話の高機能化など「コミュニケーション関連サービス」,(2)「通信品質保証関連サービス」,(3)ユーザーが使いたいときだけ帯域を確保するような「動的通信関連サービス」,(4)回線認証など「セキュリティ関連サービス」,(5)これらの機能を使った「アプリケーション開発機能」---に分かれる。

表1●アンケートで調べたNGN上の企業向けサービス
表1●アンケートで調べたNGN上の企業向けサービス

 回答者にはこれらのサービスそれぞれに付いて,「使いたい」「どちらかというと使いたい」「どちらかというと使いたくない」「使いたくない」「分からない」から選択してもらい,「使いたい」を100,「どちらかというと使いたい」を66.7,「どちらかというと使いたくない」を33.3、「使いたくない」を0として加重平均した結果を期待値のインデックスとして算出した。

通信速度保証とセキュリティが上位を占める

 期待値インデックスの大きい順に結果を示した(図1)。ぱっと見て分かるように通信速度を保証するサービスが大きな支持を得た。セキュリティ関連のサービスも上位に入っている。

図1●企業向けNGNサービスの期待値インデックス
図1●企業向けNGNサービスの期待値インデックス
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 特に人気が高かったのが「通信速度が保証されたインターネット接続サービス」「通信速度が保証されたVPNサービス」の二つだ。期待値インデックスで3位に6ポイント以上の差を付けた。どちらも「使いたい」と「どちらかというと使いたい」を合わせると80%を超える。サービスの分かりやすさという面も高評価につながったようである。

 日経コミュニケーションのアンケート(企業ネットの担当者が望むNGNの姿:アンケート編(2)帯域を自在に変えられるWANが欲しい)では動的通信サービスに焦点を絞って聞いており,「帯域や経路を動的に変更できるWANサービス」が74.8%という高い支持を得たとしている。

 しかし,今回の調査では「動的通信関連サービス」への期待値は,下位に沈んだ。その中では「ユーザーが指定したときだけ通信路を確保するオンデマンドVPNサービス」が一番支持が多かったが,「使いたい」はわずか20.4%,「どちらかというと使いたい」も41.9%にとどまった。この分野のサービスは新しいものだけに「分からない」という回答が多かった。第1回でも見たように日経コミュニケーションの回答者はNGNの認知度が高く,知識を多く持っていることがこのような違いに出たのだろう。

 コミュニケーション関連のサービスも期待値インデックスが低かった。その中では「携帯電話端末をオフィスの内線で使えるサービス」という,いわゆるモバイル・セントレックスのサービスが一番人気である。この分野で唯一期待値インデックスが70を超えた。

 アプリケーション開発の機能も期待値インデックスが低い。このサービスは「分からない」が37.5%と非常に多く,現在存在していないものだけに評価のしようがなかったというところだろう。