企業ネットワーク担当者の6割以上は,魅力を感じるNGNの特徴として信頼性を挙げた。このような信頼性重視の姿勢は,「社内ネットワークの構築にNGNを採用するなら何を重視するか」という質問でも裏付けられた。

 最も多かった回答こそ「通信コスト」に譲ったものの,実に81.5%のユーザーが「信頼性」を重視するとした(図1)。92.4%のユーザー企業が重視するとした通信コストに迫る勢いの回答があった項目は,信頼性だけだ。

図1●企業がNGNを利用するときに重視するのは通信コストと信頼性
図1●企業がNGNを利用するときに重視するのは通信コストと信頼性

 一方,「サービス内容」や「提供エリア」,「現行ネットワークからの移行のしやすさ」の3項目は,いずれも50%前後にとどまった。

 アンケートを実施した2007年5月時点で,NTTなどの通信事業者はNGNのサービス像や提供形態をあまり具体的に提示していない。このため,ユーザー企業もサービス内容や提供エリアがどうなるか想像が付かず,選びにくかったのかもしれない。そのような面があるとしても,コストと信頼性を重視する姿勢は明らかだ。

4分の3の企業がオンデマンドWANに期待

 NGNではオンデマンドで接続先や帯域を変更できるサービスの登場が見込まれている。そこでオンデマンド型サービスに対するユーザーのニーズを,複数回答形式で尋ねた。

 その結果,最も人気が高かったのは「帯域や経路を動的に変更できるWANサービス」。74.8%ものユーザーが利用したいと答えた(図2)。

図2●4分の3の企業がオンデマンド型のWANサービスの出現に期待
図2●4分の3の企業がオンデマンド型のWANサービスの出現に期待

 オンデマンド型のWANサービスが実現すれば,企業ネットワークの設計手法が抜本的に変わる可能性がある。例えば,各拠点のデータを月に数回データ・センターにバッチ転送しているような企業に大きな恩恵がある。バッチ転送で大容量の帯域が必要な時だけ,増強できるようになる。日常的に大容量回線を契約し,宝の持ち腐れ状態になることを防げる。

 企業間通信にも大きな効果を期待できる。取引先との通信が必要な時だけVPNの経路を確保すれば済むようになる。不要な時はネットワークを閉じておけば,不正アクセスに遭う恐れが減る。セキュリティの向上が見込めるわけだ。

 オンデマンド型のWANサービスのほかに,一定のニーズが見込めそうなのは「利用時に必要な帯域を確保するテレビ会議サービス」である。半数近いユーザーが期待している。

 テレビ会議の通信では,広い帯域と高いリアルタイム性が求められる。映像データの伝送が途中で乱れようものなら,はっきりと目に見える形で画質が劣化する。とは言え,常に安定した帯域や通信品質を確保するのは,一般的なユーザー企業にとっては難しい。

 「普段はベストエフォート型の通信で構わないが,テレビ会議ではしっかりと帯域を確保したい」--。そんなネットワーク担当者の本音を表す調査結果と言える。