日経マーケット・アクセスは2007年6月~7月に,NGN(次世代ネットワーク)についてのアンケート調査を実施した。調査は個人ユーザーと企業のシステム部に勤めるユーザー,それぞれに対して行い,個人ユーザーは891人,企業ユーザーは437人が回答した。

 調査内容はNGNの認知度やNGNへの期待度,およびNGN上の様々なサービスについての期待度と,それらにいくら支払ってもよいかという利用料意向だ。今回から4回で結果の概要を報告する。

企業と個人で大きく違う認知度

 NGNという言葉を聞いたことがあるかどうかという質問に対して,企業ユーザーはほぼ半分の49.7%が「聞いたことがある」という回答だった(図1)。

図1●NGNの認知度
図1●NGNの認知度
2007年6~7月調査。回答数は個人ユーザーが891人,企業ユーザーは437人。

 似たようなNGNの認知度調査は日経コミュニケーションが2006年と2007年(関連記事:企業ネットの担当者が望むNGNの姿:アンケート編(1)6割超のユーザーが信頼性向上に期待)に行っているが,2006年は「聞いたことがない」企業ユーザーが31.3%だったのに対し,2007年はわずか9.7%にまで減っている。それと比べると今回の調査ではNGNの認知度はかなり低い。日経コミュニケーションの調査は同誌の読者モニターが対象であり,読者の中でも意識が高い人が入っている可能性が高い。そういった層ではNGNの認知度が高まっていても,一般の企業のシステム担当者ではまだ半分程度しか認知されていないというのがNGNの現実のようだ。

 個人ユーザーの場合,「聞いたことがある」のはわずか18.0%とずっと低かった。個人ユーザーの認知度を男女別,年齢層別で見ると一番認知度が高かったのは男性30代で36.0%。次いで男性の29歳以下と40代がどちらも28.7%。50歳以上の男性では7.9%と急に低くなる。

 一方,女性は29歳以下では22.6%とそこそこの認知度だったが,30歳以上では10%を下回る。女性では30歳以上,男性では50歳以上というのが認知度の分かれ目になっているようだ。

 NGNという言葉を聞いたことがあるユーザーには,内容をどれだけ知っているかも聞いた(図2)。企業ユーザーでは「概要を知っている」のが80.2%と大半。個人ユーザーも「少し知っている」が68.1%と多かった。

図2●NGNの理解度
図2●NGNの理解度

「NGNの信頼性は低い」と考えるユーザーが1割

 NGNの内容を知っている企業ユーザーに対しては,さらにNGNをどう見ているか,いくつかの角度から聞いた。その中で注目すべきなのがNGNの信頼性についての質問だ(図3)。

図3●NGNの信頼性評価
図3●NGNの信頼性評価
NGNについて知識がある企業ユーザーに聞いた。

 NGNの信頼性をどう見ているかという質問に対し,「少し低い」と答えた企業ユーザーが9.9%,「かなり低い」と答えたのが0.6%。本来,従来のIP網よりも信頼性が高いはずのNGNで,かえって低くなると考えているユーザーが1割いることになる。おそらく,2006年から続けて起こったIP電話やネットワークのトラブルがNGNへの悪印象につながっているのだろう。逆に信頼性が「とても高くなる」と考えている企業ユーザーは5%と悪くなると思っているユーザーよりも少ない。

 ほかの質問でもNGNを強く肯定的に捉えるユーザーと,否定的に捉えるユーザーが同程度だった。例えばNGNの総体的な印象はNGNへの総体的な印象では「とても良い」が4.4%だったのに対し,「少し悪い」は5.0%。NGNを2~3年後に使用しているかどうかの予想については「導入している可能性が高い」と答えた回答者は9.9%だったのに対し,「絶対に導入していない」という回答者が13.8%もいた。