日経マーケット・アクセスが企業・組織の情報システム担当者を対象に行っている月次調査「日経マーケット・アクセスINDEX(日経MA-INDEX):企業情報システム」の2007年2月調査は,2006年11月調査に引き続いて,国内の主な情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)を対象に,利用者の満足度を聞いた。

 本日の記事ではまず,主要ベンダーへの「価格」「性能・機能」「サポート」満足度INDEX(算出方法は下記の注釈参照)の結果を紹介する。

SAPが3項目とも最下位,MSは「サポート」で50点に届かず

 今回のベンダーに対する満足度評価は,3項目とも有効回答数が30以上に達した対象企業が18社(2006年11月調査では13社*1),このうち3項目とも回答数100以上が8社(同6社*1)だった。今回の回答数上位8社への評価は「マイクロソフトの一人負け」,18社全体ではSAPジャパンが「前回調査に続いて,全3項目とも満足度INDEX 50点未満で最下位」だ。

 「価格」,「性能・機能」,「サポート・サービス」の3項目の満足度INDEXの平均値で評価した「総合満足度」INDEXは,日本ヒューレット・パッカード(HP)が18社中の首位,前回2006年11月調査で首位だったシスコシステムズがやや得点を落として2位,日本IBMが逆に得点を上げて前回の7位から3位に浮上した。この3社は総合満足度INDEX 59.8~59.5で0.3点の差しかなく,実質的には同率首位と言える。HPは「価格」で63.3点を獲得したことで(IBMは60.9点,デルは60.2点)前回3位から上昇。シスコは3項目とも,前回調査より約2点ずつ満足度INDEXを落とした。

 この3社に続くKDDI(前回2006年11月調査では回答数不足でランク外)から,デル,NEC(前回3位),サン・マイクロシステムズまでの4社も,総合満足度INDEX 58.9~58.1の0.8点の間にあってほぼ横並び。最下位争いは今回もマイクロソフト(50.9点)とSAPジャパン(45.2点)だった。前回調査でSAP,マイクロソフトとほぼ並ぶ下位に沈んでいたレノボ・ジャパンは,今回は18社の平均(56.2点)を上回る56.6点を得て中位グループに浮上した。

「価格」でIBMがデルを上回る,サポートと価格でMSとRed Hatがブービー争い

 項目別に見ると,「価格」満足度INDEXでは,日本HPが63.3点を獲得して首位。回答数100以上での2位はデル(60.2点)を僅差で抑えて,なんと日本IBM(60.9点)が食い込んだ。デルのすぐ後にNECが60.0点でつけた。回答数30以上での2位は61.5点のKDDIだった。前回調査で価格満足度首位(60.8点)のアドビシステムズは5ポイント近く評価を下げ(56.0点),18社中12番目に後退した。

 価格満足度の下位はSAPが45.5点で18社中唯一50点に届かず。その上は53.5点のレッドハットと53.2点のマイクロソフト,そのまた上は54.8点のEMCと54.7点の日本オラクルで,SAP以外はさほど差がない。

 製品やサービスの「性能・機能」満足度INDEXは,シスコシステムズ62.1点,アドビ61.8点,EMC61.6点がほぼ横並びの首位。以下日本IBM,デル,日本HP,NTTコミュニケーションズ,サン・マイクロシステムズ,KDDI,日本オラクル,NECの8社が,60.5点~58.2点の約2ポイントの幅の中に並んだ。

 性能・機能満足度の最下位もSAP(45.2点で18社中唯一50点に届かず)。その上はマイクロソフト(53.3点)の定位置で,富士通(56.2点),日立製作所(56.0点)から3ポイント近く引き離された。

 「サポート・サービス」満足度INDEXも,上位13社が57.2点~54.0点の約3ポイントにひしめき,あまり明確な差が付かなかった。その中で首位グループを形成したのは日本IBM(57.2点)とシスコ(57.0点),KDDI(56.7点),NEC(56.6点)の4社である。

 サポート満足度の下位グループ5社は,NTTコミュニケーションズ(52.6点),日本オラクル(51.0点),レッドハット(49.2点),マイクロソフト(46.2点),SAP(44.8点)だった。

 なお図示していないが,「大変満足」と「やや満足」の回答者の比率を合計した「満足率」でみると,「価格」の首位は日本HP(79.5%)が2位シスコ(75.0%)以下を大きく引き離しトップ。「性能・機能」は通信サービス/通信機器ベンダーが強く,NTTコミュニケーションズ(78.7%),KDDI(78.0%),アドビ(78.0%),シスコ(77.5%)の4社が上位を占めた。「サポート・サービス」の満足率も同様に通信系が上位を占め,シスコ(68.1%),KDDI(67.5%),NTT東日本/NTT西日本(67.2%)の3社が,NEC(66.4%)以下の15社を頭一つリードした。「満足率」でみても,3項目とも18社中最下位はSAP,マイクロソフトが17位であった。

◆注
 調査実施時期は2007年2月中旬,調査全体の有効回答は1150件,うち情報システム担当者の有効回答は484件。
 満足度INDEXは選択式回答の「大変満足」を100,「やや満足」を66.7,「やや不満」を33.3,「大変不満」を0にスコア換算して平均した。
 大手情報通信製品/サービス・ベンダーの中から,ハード/ソフトや専門分野などのバランスを考えて,本図の18社のうちNTT東日本/NTT西日本,NTTコミュニケーションズ,KDDI以外の15社と日本ネットワーク・アプライアンスの合計16社(外資系はすべて日本法人)をピックアップし,有効回答者全員に評価を求めた。
 日本オラクルはシーベル,ピープルソフト,JDエドワーズ,Retekなどを,EMCジャパンはVMware,ドキュメンタム,RSAセキュリティを,アドビ システムズはマクロメディアを含めて評価するよう求めた。
 NTT東日本/NTT西日本,NTTコミュニケーションズ,KDDIなどその他の大手ベンダー60社については,ベンダーと回答者をそれぞれ5グループに分けて,各回答者に12社づつを提示し評価を求めた。

図1●主要情報通信(ICT)製品/サービス・ベンダーへの満足度(回答数100以上)

図2●主要情報通信(ICT)製品/サービス・ベンダーへの満足度(回答数30以上100未満)