図●コンセプト実証の構成
図●コンセプト実証の構成
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 NTTと日本アルカテル・ルーセント、富士通は2014年5月1日、3社が2月から取り組んでいるNFV(Network Functions Virtualization)に向けた新しいサーバーアーキテクチャーの研究プロジェクトについて、欧州の標準化団体「ETSI」配下に設立されたNFV ISG(Network Functions Virtualization Industry Specification Group)のコンセプト実証(PoC:Proof of Concept)に認定されたと発表した。NTT研究所のNFV ISGのコンセプト実証認定は、シスコシステムズ、ジュニパーネットワークス、日本ヒューレット・パッカードと共同で実施しているサービスチェイニングのプロジェクトに次いで2件目となる(関連記事:NTTがシスコ、ジュニパー、HPと共同でNFVのデモを実施、NFV ISGのコンセプト実証にも採択)。

 3社が進める研究開発プロジェクトとは、NFVに適した高い信頼性、拡張性、運用性を備えたサーバープラットフォームの実現を目指す取り組みとなる(関連記事:NTTが日本アルカテル・ルーセントおよび富士通と共同で、NFV向け新サーバーアーキテクチャー研究プロジェクト)。具体的にはサーバーの冗長構成を自動的に回復する技術などだ。多数のサーバーがデータの原本および複製を分散して保持し、サーバー同士が相互監視することで、あるサーバーが故障すると、システムから切り離すとともにシステム内でデータの原本と複製を自動回復する。こうした技術によって、NFVを通信事業者のシステムに適用した際に求められる信頼性の担保を、サーバープラットフォームの部分で担っていくという取り組みとなる。

 今回のコンセプト実証では上記のような仕組みを、NFVのアーキテクチャーにおける仮想ネットワーク機能(VNF:Virtual Network Function)において、分散処理ミドルウエア(Distributed Processing Middleware)として実装。NFV ISGが定義するNFVのユースケース(関連記事:NFVが変える通信の未来 - [3]宅内機器が消える?NFVが変える通信サービス)の一つである、仮想ネットワーク基盤サービス(VNPaaS)として構成した()。

 3社の役割分担は、NTTが通信事業者の要件の提供と実証内容を提案。日本アルカテル・ルーセントが、NFVの基盤(NFVI:Network Functions Virtualization Infrastructure)と運用管理機能を同社のNFVソリューション「CloudBand」を用いて提供(関連記事:仏アルカテル・ルーセントが最新のNFVの取り組みを紹介)。富士通がNTT研究所の分散処理技術を用いた分散処理ミドルウエアの開発と、保守・運用技術の提供となる。

 ETSI NFV ISGの会合が沖縄で開催されるのに合わせて、5月14日に沖縄万国津梁館貴賓室にて今回のデモを公開するという。

ニュースリリース
ETSI NFV WikiにおけるPoCの説明ページ