図1●NFVに適した新サーバーアーキテクチャー
図1●NFVに適した新サーバーアーキテクチャー
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図2●3社の分担
図2●3社の分担
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図3●リニアなスケーラビリティを実現する技術
図3●リニアなスケーラビリティを実現する技術
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図4●冗長構成を自動回復する技術
図4●冗長構成を自動回復する技術
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 NTTは2014年2月7日、日本アルカテル・ルーセントおよび富士通と共同で、NFV(Network Functions Virtualisation)に向けた新しいサーバーアーキテクチャーの研究プロジェクトを立ち上げたと発表した。NFVは、専用ハードウエアで実現していた通信事業者のネットワーク機能をソフトウエア化し、汎用の仮想化基盤上に集約する仕組みである。

 従来のネットワークでは、個別の機能やサービスごとに、プラットフォームやハードウエアを選定していた。また、サービス提供のためのアプリケーションごとに、信頼性や拡張性を追加していた。この方法だと、アプリケーションの開発やインフラの構築、保守体制にコストや時間がかかってしまう。

 NFVを導入した新しいネットワークでは、サービスや機能を提供するアプリケーションを汎用サーバー上の共通リソースで動かす。これにより、高いスケーラビリティと冗長性を備えたインフラを低コストで構築できる。また、サービス事業者は、信頼性や拡張性を気にせず、アプリケーション開発のみに集中できるという(図1)。

 今回の研究プロジェクトでは、高い信頼性、拡張性、運用性を備えたプラットフォームを実現できる、NFVに適した新しいサーバーアーキテクチャーの開発を目指す。3社の分担としては、まずNTTネットワークサービスシステム研究所(NS研)が開発したサーバー分散処理のエンジン部の技術を提供。日本アルカテル・ルーセントはサーバー仮想化技術やオーケストレーション技術を受け持つ。富士通は分散処理のシステム化や保守運用技術を提供する(図2)。

 NS研が開発した技術は、大きく2つ。1つは、データ(信号)の負荷分散において、振り分け処理を2段階にすることでサーバー台数に比例したリニアなスケーラビリティを実現する技術(図3)。振り分け処理が1段だけだと、適切な負荷分散ができず、サーバー台数を増やしても処理性能が上がらなかったという。

 もう1つは、サーバーの冗長構成を自動的に回復する技術である(図4)。多数のサーバーがデータの原本および複製を分散して保持する。サーバー同士が相互監視しており、あるサーバーが故障するとシステムから切り離すとともに、システム内でデータの原本と複製を自動回復させる。

 この研究開発プロジェクトの成果は、通信以外の他分野、あるいは3社以外への展開を目指しているという。

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