写真●説明会の様子。写真左から、イー・アクセスの大橋功・企画部部長、ソフトバンクモバイルの徳永順二・財務副統括担当兼渉外本部本部長、KDDIの藤田元・渉外・広報本部長。
写真●説明会の様子。写真左から、イー・アクセスの大橋功・企画部部長、ソフトバンクモバイルの徳永順二・財務副統括担当兼渉外本部本部長、KDDIの藤田元・渉外・広報本部長。
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 KDDIやソフトバンクモバイル、イー・アクセスなど65の通信事業者・業界団体は2014年4月2日、総務省で始まった2020年代の情報通信政策の在り方に関する議論について、公平競争の確保を求める要望書を総務大臣あてに提出した。上記3社が共同で説明会を開き、「NTTの独占回帰につながる政策の見直しに反対する」と主張した(写真)。

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 総務省は世界最高レベルの情報インフラの整備を目指し、実現に必要な規制改革の議論を進めている。2014年2月に「2020-ICT基盤政策特別部会」を設置し、まさに議論が始まったばかり。だが、「NTTグループへの規制を緩和する方向で検討が始まった」との先行報道が多く、「具体的な議論が進む前に方向性が決まっているとすれば極めて問題。NTTグループへの規制を緩和すれば、実質的な再統合・独占回帰につながる」として、公正な競争の確保を改めて強調した。

 NTTグループの市場支配力は依然として大きく、2013年9月末時点におけるシェアを見ると、NTT東西がFTTH市場で71.7%(固定系ブロードバンド全体では54.3%)、NTTドコモが携帯電話市場で44.3%(大手4社比較)を占める。現状でも「競争事業者がNTTと対等かつ有効に競争できる環境は十分に整っていない」と力説する。

 NTTドコモが求める禁止行為規制の見直しについても、NTTドコモ、NTT東西、NTTコミュニケーションズによる排他的連携が進んで独占回帰につながるため、断固反対との姿勢を示した。仮にNTTグループ以外との連携を認めるとしても、「例えばコンテンツ・プロバイダーを隠れ蓑にして実質的には裏で連携することもあり得るため、慎重に議論していただきたい」(ソフトバンクモバイル)とする。

 今回、65者が連名で要望書を提出したわけだが、NTTグループへの規制などを巡っては過去にも同じことを繰り返してきた。NTTグループが料金請求/回収の業務をNTTファイナンスに統合した際には、66者の連名で要望書を提出した(関連記事:NTTグループの料金業務統合で競合66社/団体が調査要望、グループ一体化を懸念)。「NTTグループへの規制緩和に反対」という観点では一枚岩となっているが、肝心な情報通信政策の在り方について細部に踏み込んでいくと、各社で意見は分かれる。今後の議論に注目したい。