何やら通信業界が騒がしくなってきた。日本経済新聞が2月10日付けの朝刊で「総務省、NTT『セット割引』解禁を検討 シェア低下で見直し」と報じるなど、総務省が通信市場の競争を促す制度改正に乗り出すことになったからだ。見直しの舞台となる総務省の「2020-ICT基盤政策特別部会」(以下、特別部会)は、2月26日から本格的な議論を開始する。ここでは現在の通信業界の競争状況を振り返ったうえで、今後の議論の方向性や競争のあるべき姿について考えてみたい。

大臣肝いりの特別部会、検討範囲は多岐に渡る

 今回の特別部会は、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、「世界最高レベルの通信インフラの整備の実現のために、必要な制度見直し等の方向性について、2014年中に結論を得る」と掲げられたことを受けて設置された。「部会の名称案を何十個も考えなければならなかったほど、大臣(新藤義孝総務大臣)の並々ならぬ思いがある」と事務局を務める総務省事業政策課が語るように、総務省が進める政策の中でもかなり力が入った場になるようだ。

 特別部会の親会に当たる情報通信審議会が2月3日に開催した総会では、特別部会で検討する項目案がいくつか紹介された。

 具体的には

  • 「事業者間の競争状況をどう捉えるか。サービスの多様性や事業主体の多様性について、料金水準についてどう捉えるか」
  • 「圧倒的に速く、限りなく安く、多様なサービスを提供可能でオープンなICT基盤を有線・無線の両面で実現し、ICT基盤を利用するあらゆる産業の競争力強化を図るには、何が必要と考えられるのか」
  • 「全ての国民にあまねく提供されるべきICTサービスの在り方について、どのように考えるか」
  • 「より安心・安全にICTを利用できる環境を確保するには、何が必要と考えられるか」
  • などの項目だ。