ソフトバンクの孫正義代表取締役社長が米PBSのテレビ番組「Charlie Rose」に出演し、ドイツDeutsche Telekomの米国子会社であるT-Mobileを獲得したい意向を明確に示したことを、複数の海外メディア(Financial TimesBusinessweekWall Street JournalRegisterなど)が現地時間2014年3月11日に報じた。孫社長は、T-Mobileを買収して傘下の米Sprintと合併することをもし米当局が承認すれば、「米国モバイル市場に大規模な価格競争を仕掛ける」と述べた。

 ソフトバンクは2013年7月にSprintを約216億ドルで買収(関連記事:ソフトバンク、米スプリントの買収を完了と発表)。12月には、Sprintを通じてT-Mobileを買収することを検討しており、2014年前半に買収案を提示する可能性があると報じられた(当時の名称はSprint Nextel)を約216億ドルで買収(関連記事:SprintがT-Mobile買収を検討中、来年前半にも提案か、米メディアが報道)。

 孫社長は3月10日のテレビ番組でT-Mobile買収について聞かれると「買収を実現させたいが、まだ合意に至っていない。さまざまな手順や詳細をこなす必要がある」と答えた。

 また、「SprintとT-Mobileは、米国モバイル市場のキャッシュフローと収益のほとんどを握っている米Verizon Communicationsと米AT&Tに対抗できるだけの規模が欠落している。米国キャリア3位と4位が合併すれば、市場を独占している2大キャリアに対するより強力な挑戦者が誕生する」と説明。「対等に戦える規模を備え、本当の戦いができるなら、激しい価格競争、技術競争を始める」と述べた。さらに「利益よりシェア拡大を優先させる」と強い意欲を見せた。

 3月11日に米商工会議所で行った講演では、米国民が日本よりはるかに高い金額をはるかに遅いモバイルブロードバンドに支払っていると、市場競争の必要性を強調した。

 しかしソフトバンクとT-Mobileが買収計画で合意しても、当局が難色を示す可能性が高い。かつてAT&Tが約390億ドルでT-Mobileを買収しようとしたが、米司法省(DOJ)から独占禁止法訴訟が提起されるなど、実現が困難と判断し、2011年12月に買収計画を撤回している(関連記事:AT&T、総額390億ドルのT-Mobile USA買収計画を断念)。