写真●Hitachi Data Ingestorの外観
写真●Hitachi Data Ingestorの外観
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 日立製作所は2013年10月23日、データをオンラインストレージに格納する企業向けNAS(ファイルサーバー)装置のエントリー機種「Hitachi Data Ingestor」(HDI、写真)を発表した。10月25日に出荷する。既存のエントリー機種「Hitachi Virtual File Platform 50」(VFP50)よりも容易に導入できる。単体販売ではなく、日立製作所のパートナー企業からオンラインストレージサービスの端末として提供される。

 HDIは、中小企業に向いたNAS装置である。オンラインストレージサービスと組み合わせた形態で利用する。オンラインストレージに対するNASゲートウエイとして動作する。エンドユーザーは、背後にあるオンラインストレージを意識することなく、通常のNASとしてアクセスする。HDIに格納したデータは、そのすべてがオンラインストレージに格納される(キャッシュ用に1Tバイトのディスクを内蔵する)。

 HDIは、ストレージ仮想化装置「Hitachi Virtual File Platform」(VFP、関連記事)の下位製品に当たる。VFPは、外付けストレージやオンラインストレージなどの複数のストレージを束ねてリソースプールを形成し、これらのストレージをまたいで論理ボリュームを運用できるようにする製品である。アクセス頻度に応じてストレージ間でファイルを移動するILM(階層型ストレージ管理)機能も備える。

オンラインストレージのNASゲートウエイに廉価機を追加

 日立製作所では、アーカイブ用ストレージ「Hitachi Content Platform」を使ったオンラインストレージサービスとVFPを組み合わせた提案型のストレージシステムのことを、「Cloud on-Rampソリューション」と呼んでいる。Cloud on-Rampソリューションは、日立製作所のパートナー企業がそれぞれ提供している。

 Cloud on-Rampソリューション向けの機器としてはこれまで、VFPのエントリー機種である「VFP50」(税込みで99万7500円、関連記事)などを用意してきた。今回、VFP50よりも安価かつ容易に導入できるHDIを用意した形である(HDIはVFPとは異なり、オンラインストレージのゲートウエイ機能に特化している)。HDIでは、VFP50と比べて小型化/省電力化も図っており、装置の大きさは約15分の1に、運用時の消費電力は約3分の1の約30ワットにした。

 Cloud on-Rampソリューションを提供するパートナー企業としては、伊藤忠テクノソリューションズ、大塚商会、日本システムウエア(NSW)などがある。このうち、NSWは、既存サービス(VFP50ベース)に加えて、2013年内にHDIを使ったサービスを提供することを表明している。VFP50を使った場合よりも安価な料金体系を用意する見込みである。

 なお、NSWが提供している現行サービス(VFP50ベース)の名称は「irukabox」で、料金は以下の通り。オンラインストレージの容量は100Gバイト単位で契約でき、価格は1Gバイト当たり月額45円。基本料金(500Gバイト分のストレージ利用権を含む)は、VFP50相当機器のゲートウエイをレンタルする「ゲートウエイレンタルモデル」が月額7万5000円、ゲートウエイを事前に購入する「ゲートウエイ購入モデル」が月額2万2500円、仮想アプライアンス型のゲートウエイを利用する「バーチャルアプライアンスモデル」が月額4万5000円。