Hitachi Virtual File Platform 50の外観
Hitachi Virtual File Platform 50の外観
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 日立製作所は2011年9月7日、複数のNASストレージを束ねて仮想化する装置のエントリー機種「Hitachi Virtual File Platform 50」(VFP50)を発表した。9月9日に販売開始/出荷する。SANに非対応とするなど上位機種をスペックダウンすることで、中小企業でも導入しやすいよう、100万円を切る価格(税込みで99万7500円から)にした。

 VFPは、ストレージ仮想化装置である。複数のストレージを束ねてリソースプールを形成し、ストレージをまたいで論理ボリュームを運用する。ストレージのリプレース用途(旧式の既存ストレージから新しいストレージにデータを移行する用途)や、拡張性や保守性のために複数ストレージを一つに統合する用途などに向く。論理ボリュームの最大容量は1Pバイトで、ボリュームは128個まで運用できる。

 今回追加したエントリー機種のVFP50は、ストレージプロトコルをNAS(CIFS/NFS)専用に限り、中小企業向けにいくつかのソフトウエア機能を省略し、ハードウエアスペックを抑えた低価格機種である。導入形態に合わせて、オフィスへの設置に向いたタワー型と、データセンターへの設置に向いたラックマウント型(4U、タワー型を横にした大きさ)の2モデルを用意した。

ハードウエア仕様の縮小と機能の簡素化で低価格化を図る

 VFP50のハードウエア面での特徴は、ほかのNASストレージを束ねるゲートウエイ機能のほかに、自前でもストレージ機能を持つこと。SATA接続の2Tバイトディスクを2~4基搭載する(4T~8Tバイト)。この一方、上位機種では、ゲートウエイ専用モデルと、ラックきょう体に複数のストレージ機器を搭載可能なストレージセットモデルの2モデル構成をとっていた。

 ソフトウエア面の特徴は、ウィザード形式の管理GUIを装備すること。「10分で初期設定が終わる」としている。

 上位機種と同様に、オプション機能で、NASストレージ間のデータ移行機能「Universal File Manager for NAS」を用意する(価格は税別で19万円)。これを使えば、NASストレージからNASストレージへとデータを容易に移行できる。一度に全データをを移行する方式に加えて、アクセス要求があったファイルから順次移行する方式を選べる。既存のNAS環境を使い続けながら徐々にリプレースできる。

 省略されたソフトウエア機能の一つが、SAN接続機能である。VFP50では、統合対象となる既存ストレージがNAS(CIFS/NFS)に限られると同時に、サーバーからVFP50にアクセスする手段もNASプロトコルに限られる。一方、上位機種では、SAN(FC/iSCSI)とNASが混在した環境を統合できるほか、SAN/NAS両方の手段でアクセスできた。また、VFP50では、上位機種では備えていたシンプロビジョニング機能(ボリュームの容量仮想化機能)を省略した。