写真1●NTTドコモの徳広清志取締役常務執行役員
写真1●NTTドコモの徳広清志取締役常務執行役員
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写真2●ドコモによる“クアッドバンドLTE”の考え方
写真2●ドコモによる“クアッドバンドLTE”の考え方
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写真3●来春には東名阪のLTE用帯域が従来の倍以上に
写真3●来春には東名阪のLTE用帯域が従来の倍以上に
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写真4●10月11日からは速度別エリアマップを提供予定
写真4●10月11日からは速度別エリアマップを提供予定
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 「ドコモは“クアッドバンドLTE”を駆使して、広さ、速さ、快適さを追求する。来春には他社よりも速いネットワークを実感できるようにしていく」──。NTTドコモが2013年10月4日に開催したネットワークとサービスに関する記者説明会で、同社のネットワーク担当である徳広清志取締役常務執行役員(写真1)はこのようにアピールした。

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルが全く同じ端末を発売するという史上初の事態となった「iPhone 5s/5c」の発売に前後して、各社のネットワークのアピール合戦は一層加熱するばかり。KDDIは“800MHz帯プラチナLTE”のアピールを繰り返し(関連記事:“800MHz帯プラチナLTE”をアピールするKDDI、iPhone 5c/5s発売イベントを開催)、ソフトバンクモバイルは2GHz帯と1.7GHz帯を最大75Mビット/秒対応とする“倍速ダブルLTE”など、キャッチーなフレーズを連発している(関連記事:つながりやすさのアピールに終始、ソフトバンク新商品発表会で孫社長の一問一答)。

 ドコモもiPhone 5s/5cの発売当日に同社の加藤薫社長が登壇してネットワークに関する説明会を開くなど、ネットワークのアピールに躍起だ(関連記事:iPhone発売でドコモの加藤社長、「価格は他社とそん色ない。総合力で勝てる」)。ただ他社と比べるとアピール不足の感は否めず、今回、担当常務によって、改めて詳しい説明会を開催する運びになったようだ。

4バンドをエリアカバー/スループット向上用、都市部/郊外向けに役割分担

 そんな徳広常務が、ドコモのキーワードとして挙げる“クアッドバンドLTE”とは、ドコモが保有する2GHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯の4バンドを使ったLTEのネットワーク構成を指す(写真2)。それぞれのバンドは、エリアカバー/スループット向上用、そして都市部/郊外向け、と役割が異なっている。

 エリアカバーを示す「広さ」を実現するのは2GHz帯と800MHz帯。その中でも2GHz帯は主に都市部、800MHz帯は主に郊外用に用いる。スループット向上である「速さ」については、1.7GHz帯と1.5GHz帯によって担う。こちらは都市部は1.7GHz帯、郊外は1.5GHz帯を活用する方針だ。これら4つの周波数帯を適材適所で用いて、「快適さ」を追求するのがドコモのネットワーク戦略の基本的な考え方である。

 ただ4つのバンドすべてに対応するのは、2013年冬モデル以降の機種からであり、2012年冬モデル、2013年夏モデルは2GHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯、iPhone 5s/5cは2GHz帯、800MHz帯、1.7GHz帯と、現時点では端末によって対応するバンドにバラつきがある。

東名阪でのLTE用帯域を来春には従来の倍以上に

 ドコモは本年度、LTEエリアの倍増計画を進めている(関連記事:NTTドコモの通期決算は増収減益、「4Qで回復の兆しが見えてきた」と加藤社長)。2013年3月末で約2万4400局だったLTE基地局を、2014年3月末には約5万局へと広げる計画で、エリアは順調に拡大しているという。LTE向けの帯域を10MHz幅×2使った75Mビット/秒以上の対応基地局も、2013年3月末で約6400局だったのを、2014年3月末には約4万局へと大幅に拡大する計画だ。

 徳広常務は「LTEの車線を広げれば広げるほど3Gが混雑する。そのため当初はLTEの車線を広げるのに慎重だった。ただ昨年末に、3Gのトラフィックのピークアウトが確認できたため、モードが切り替わった」と打ち明ける。

 各種のスループット調査では、ドコモが速度の面で見劣りするような結果も出ている。徳広常務は「確かに速さでは苦戦しているかもしれない。ただこれからは東名阪では1.7GHz帯を20MHz幅×2用いて、一気に高速化を図る(関連記事:実測で100M超も、ドコモが最大150Mbps化した1.7GHz帯LTEの実力を披露)。

 1.5GHz帯も、都心部では5MHz幅×2の制限があったが、2014年4月からは15MHz幅×2とフルに使えるようになる。来春には他社よりも速いネットワークを実感できるようにしていく」と強調した。東名阪ではLTEに割く帯域が、従来の倍以上になる計算となる(写真3)。

 また10月11日からは、最大75Mビット/秒、最大112.5Mビット/秒、最大150Mビット/秒といった速度別のエリア図を提供していくことも明らかにした(写真4)。