写真●NECでSDN戦略本部長を務める野口誠氏
写真●NECでSDN戦略本部長を務める野口誠氏
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 NECは2013年7月10日、ソフトウエアでネットワーク構成を動的に組み直す技術であるSDNの普及を見込み、SDNによるネットワーク構築サービスをSIサービスとしてメニュー化した。2013年10月から順次、業務システム構築を手がける既存のSI事業部門がユーザー向けに提供開始する。事業目標についてSDN戦略本部長の野口誠氏(写真)は、「2015年時点でSDNに熟達したSEを800人に拡大し、1500億円の売り上げを見込む」とした。

 NECのSI事業部門が手掛ける個々のシステム構築サービス案件ごとに、ネットワーク部にSDNを取り入れて提案できるようにする。ただし、このためには個々の案件(プロジェクト)ごとにSDNに熟達したSEが張り付く必要がある。この問題を解決するために、SEのスキル育成機関やSDN技術者の人材プールとして機能する部門横断型のバーチャル組織「SDN専任部門」を新規に用意した。SDN技術者の人材プールは、NECのグループ会社のSEが中心となる。

 SEがSDNのスキルを身に付けることで、業務システムの開発者みずから、業務の要件に合わせてネットワークを動的に構成できるようになる。必要なネットワークリソースを必要なときに調達できるので、運用コストだけでなく設備コストも削減できる。これに対して従来は、ネットワーク構築はネットワークインフラ担当者の職務であり、本来必要ではないネットワークリソースを割り当てるといった無駄が生じていた。

SDN構築の典型例に合わせて5つのメニューを用意

 今回メニュー化したSDN構築SIサービスの名称は「NEC SDN Solutions」。SDN構築にフォーカスしてメニューを作成しているので、業務システム開発との組み合わせにとどまらず、既存のネットワーク構築SIサービスのようにSDN構築だけを発注することも可能である。10月から提供するSDN構築SIサービスは5つで、具体的には、以下の通り。

 (1)「拠点・データセンター接続最適化ソリューション」は、通信回線の利用効率と経路を最適化する。(2)「オフィスLAN最適化ソリューション」は、社内のネットワーク機器を集約して集中管理する。(3)「アクセス認証ソリューション」は、ネットワークへのアクセスを制御する。(4)「IaaS運用自動化ソリューション」は、サーバーと同様にネットワークを動的に配備できるようにする。(5)「データセンターネットワーク統合ソリューション」は、既存のネットワーク設定を維持したまま複数ネットワークを統合する。

 NECでは、通常のSIサービスと同様に、SDN構築SIサービスで使う製品を固定していない。一方でNECは以前からSDN構築に適した製品を提供してきている。具体的には、2011年3月からOpenFlowスイッチ/コントローラー製品群「UNIVERGE PFシリーズ(プログラマブルフロー)」を提供している(関連記事:NECがOpenFlowスイッチに低価格版を追加、経路切替も高速化)。

 さらに、2013年5月には、仮想サーバーに加えてUNIVERGE PFシリーズを制御できるクラウド運用基盤ソフト「WebSAM vDC Automation Ver2.0」を販売している(関連記事:NEC、OpenFlow連携で物理トポロジーの制約を回避したクラウド運用基盤ソフトを発表)。