写真●WebSAM vDC Automation Ver2.0の画面
写真●WebSAM vDC Automation Ver2.0の画面
[画像のクリックで拡大表示]

 NECは2013年5月29日、仮想サーバー/ネットワーク環境を動的にプロビジョニング(配備)するクラウド運用基盤ソフトの新版「WebSAM vDC Automation Ver2.0」(写真)を発表、同日販売を開始した。6月28日に出荷する。新版では、クラウド運用基盤から同社のOpenFlowスイッチを動的に制御できるようにするなど、いくつかの機能を強化した。販売目標は3年間で100システム。

 WebSAM vDC Automationは、クラウドサービス(IaaS)の運用に必要な機能を提供するクラウド運用基盤ソフト。仮想サーバー、ストレージ、ネットワークなどで構成する仮想サーバー環境を動的にプロビジョニング(配備)できるようにする。サーバー仮想化ソフト(VMware ESX、Hyper-V)と組み合わせて使う。同一ジャンルのソフトの例に、オープンソースのOpenStackなどがある。

 新版では、同社のOpenFlowスイッチ製品群「UNIVERGE PFシリーズ(プログラマブルフロー)」(関連記事:NECがOpenFlowスイッチに低価格版を追加、経路切替も高速化)のコントローラーと連携し、これを制御できるようにした。これにより、複数の物理スイッチをまたがって構築されているデータセンター資源全体を、物理的なネットワークトポロジーに影響されることなく、単一のリソースプールとして運用できるようになった。

複数ラックで構成するデータセンター全体を単一のリソースプールに

 UNIVERGE PFシリーズの物理スイッチをメッシュ型で相互に接続しておくだけで、物理スイッチに接続されている物理サーバー上の仮想サーバー、物理ストレージ、物理ネットワークアプライアンス(負荷分散装置やファイアウォール)などを、それらがどの物理スイッチに接続されているかを問うことなく、個々のユーザー領域(VLAN)に動的に割り当てて運用できる。

 一方、UNIVERGE PFシリーズ以外の物理スイッチの場合、クラウド運用基盤から設定内容(コンフィグ)を動的に変更することは可能であるものの、物理的なネットワークトポロジーの制約を受けているため、これらのスイッチ群の上に仮想的/論理的なネットワークを自由に作成できない。

 新版ではまた、管理機能を強化し、複数のデータセンターを一元管理できるようにした。例えば、個々のデータセンターに分散配置したWebSAM vDC Automationの管理サーバー間で仮想サーバーイメージのテンプレートを共有するためのリポジトリーを用意した。また、別途オプションで、IaaSの契約ユーザーが自身で作成した仮想サーバーイメージをテンプレート化して登録できるようにした。

サーバー監視/運用管理ライセンスを仮想アプライアンスで提供

 さらに、同社のシステム監視ソフトをプリインストールした仮想アプライアンス「WebSAM vDC Automation運用管理アプライアンスサーバ監視ライセンス」を、新版ではオプションとして用意した。これをIaaSサービスのメニューに組み入れて動的に払い出すことで、個々のIaaS契約ユーザーが自前でシステム監視ソフトを用意/インストールすることなく、IaaS環境のサーバーを任意の監視項目で監視できるようになる。

 運用管理アプライアンスにインストールされているソフトは三つある。サーバーの稼働状況を監視する「WebSAM SystemManager」、アプリケーションの稼働状況を監視する「WebSAM Application Navigator」、構成管理/資産管理ソフトの「WebSAM AssetSuite」---である(関連記事:NEC、パッチを当てる順番が分かる構成管理ソフトの新版を出荷)。

 WebSAM vDC Automation Ver2.0の価格(税別、以下同)は、プロビジョニングの対象となる個々の仮想サーバーイメージごとにインストールしておく必要がある「WebSAM vDC Automationエージェント基本ライセンス」が、物理サーバーのCPU当たり99万円から(または月額3万9900円から)。運用管理アプライアンスサーバ監視ライセンスの価格は、1台(IaaSの契約ユーザー)当たり10万8000円(または月額4400円)。