米Amazon.comがハイエンドのスマートフォンや、音楽ストリーミング専用端末など、さまざま小型機器を開発中だと複数の海外メディアが現地時間2013年5月9日に米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 Wall Street Journalは、Amazonの計画に詳しい関係者の話として、少なくとも2つのスマートフォンが開発されており、そのうちの1つは裸眼で3D画像を見ることができるディスプレイを搭載すると伝えている。画像はホログラムのようにスクリーンから浮き上がって表示され、視線検出技術でどの角度からでもくっきり見える。この技術を使ってコンテンツを視線入力で操作できる可能もあるという。

 一方のオーディオストリーミング専用端末は、オーディオ機器やテレビにつないで音楽を再生するというもの。Amazonは、音楽ストリーミングサービスの英Spotifyや、インターネットラジオの米Pandora Mediaに対抗すべく、音楽のサブスクリプションサービスを始める可能性があるとWall Street Journalは報じている。

 Amazonのハードウエア開発計画を巡っては、これまで米Bloombergなどさまざまなメディアが、映像配信サービス用のセットトップボックス(STB)やスマートフォンを開発中と伝えていた(関連記事1関連記事2)。Wall Street Journalによると今回のスマートフォンとオーディオ端末もAmazonの広範なハードウエア戦略の一環。同社には米Appleの本社があるカリフォルニア州クパチーノに「Lab126」と呼ぶ研究・設計部門があるが、ここでプロジェクトA、B、C、Dとった名称でそれぞれの開発が進められている。これら一連の秘密開発計画は社内で「アルファベット・プロジェクト」と呼ばれているという。

 いずれも、Amazonの影響力をネット通販以外の分野に広げ、コンテンツ配信サービスを拡大するのが狙い。スマートフォンに3Dディスプレイを搭載するのは、競争激しい同市場で製品の差異化を図るためとWall Street Journalは伝えている。

 なお、Amazonはこれらの端末のうち、いくつかを今後数カ月以内に市場投入したい考え。だが製品の仕上がり具合や資金面などに問題があれば、計画は中断される可能性があるという。