写真1●PayPal Hereのクレジットカードリーダー。イヤホンマイク端子にさして使う(画面はデモ用、以下の写真も同様)
写真1●PayPal Hereのクレジットカードリーダー。イヤホンマイク端子にさして使う(画面はデモ用、以下の写真も同様)
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写真2●PayPal Hereでクレジットカードを読み取らせるところ
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写真3●サインは画面上で手書きする
写真3●サインは画面上で手書きする
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写真4●決済時にGPSの位置情報を記録することもできる
写真4●決済時にGPSの位置情報を記録することもできる
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写真5●参考出展したPayPal Hereの明細印刷用小型プリンター。Bluetoothで無線接続する
写真5●参考出展したPayPal Hereの明細印刷用小型プリンター。Bluetoothで無線接続する
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 ソフトバンクモバイルは、2012年10月10日から12日まで東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2012」会場内の「SoftBank Solution Provider」ブースで、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末として使えるようにする「PayPal Here」(関連記事)を展示している(写真1)。近日中の発売を予定する伝票印刷用の小型プリンターも参考出展している。

 PayPal Hereは9月6日発売で、現在は全国主要都市17カ所のソフトバンクショップで販売する。オープン価格だが、ソフトバンクショップでの実売価格は1200円前後。法人向けの営業活動も始めており、これまでクレジットカード決済に対応していなかった零細店舗や、イベント会場のグッズ販売など一時的な用途での利用を見込んでいるという。

 ブース担当者は、「主要ターゲットである中小店舗だけではなく、大手小売・外食チェーンから宅配担当者用に導入したいという引き合いもある」と話す。

 PayPal HereはiOS 4.0以降を搭載したiPhone/iPad端末(iPhone 5を含む)に対応する。iPhone上部に収まるコンパクトな三角形の形状で、磁気カードリーダーと接続端子が付いている。これを、iPhone/iPad上部のイヤホンマイク端子に差し込む。iPhone/iPadにはPayPal Hereの専用アプリをダウンロードすれば、クレジットカード決済端末として動作する。

 ソフトバンクモバイルで回線契約したiPhone/iPad端末が必要で、通信料金以外に5%の決済手数料がかかるが、それ以外のシステム利用料などは発生しない。ソフトバンクモバイルのiPhone/iPad利用者にとっては、格安の初期コストで導入できる決済ソリューションになる。

 対応クレジットカードはVISA、MasterCard、AMEXの3種類。決済端末を利用する小売店や飲食店などは個別にクレジットカード会社と加盟店契約を結ぶ必要はないが、PayPalのビジネス向けアカウントを取得する必要がある。PayPalのアカウントに銀行口座を登録しておけば、クレジットカードで支払われた代金は最短3日で引き出せる。

日本では根強い“紙文化”

 代金支払い時は、専用アプリで金額をタップ入力したうえでクレジットカードを読み取り(写真2)、顧客には画面上に手書きでサインしてもらう(写真3)。宅配担当者などが利用する場合に便利なように決済時にGPSで取得した位置情報を一緒に記録するなど、スマートフォン/タブレット端末ならではの機能もある(写真4)。

 明細書は電子メールで送信される仕組み。だが「他国のPayPal Hereではペーパーレスが原則だが、日本では紙の明細書を出したいという要望が根強い」(ブース担当者)ため、今回参考出展した小型プリンター(写真5)を開発した。小型プリンターはiPhone/iPadとBluetoothで無線接続して使う。小型プリンターの価格は未定。

 PayPalはネットオークション大手の米eBayグループの電子決済サービスで、日本を含む190以上の国・地域でサービスを展開している。アクティブアカウントは1億件以上あり、オークションやネット通販などの決済に幅広く利用されている。

 PayPal Hereは店舗決済版のPayPalという位置づけで、米国やカナダなどで既に導入されており、日本は5番目の導入国になる。PayPalとソフトバンクは5月9日に「戦略的提携」を発表しており(関連記事)、PayPal Hereはこの提携に基づく事業である。

 スマートフォン/タブレット端末を決済端末として使うソリューションは他社(関連記事1関連記事2関連記事3など)も手掛けており、競争が激しくなっている。