写真1●記者会見の模様。左からソフトバンクモバイルの喜多埜裕明取締役常務執行役員、米eBayのジョン・ドナホー社長兼CEO、ソフトバンクの孫正義社長、米PayPalのデイヴィッド・マーカス代表
写真1●記者会見の模様。左からソフトバンクモバイルの喜多埜裕明取締役常務執行役員、米eBayのジョン・ドナホー社長兼CEO、ソフトバンクの孫正義社長、米PayPalのデイヴィッド・マーカス代表
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 ソフトバンクは2012年5月9日、米eBay子会社の電子決済大手PayPalと組み、日本で電子決済を推進する合弁会社「PayPal Japan」を設立すると発表した(写真1)。

 両社が10億円ずつ折半出資して7月までに設立する。新会社のCEO(最高経営責任者)には、ヤフー出身でソフトバンクモバイル取締役常務執行役員の喜多埜裕明氏が就く。新会社はPayPalの日本法人が以前から展開する業務を引き継ぐほか、スマートフォンを活用した店舗向け決済サービス「PayPal Here」を新たに始める。

 PayPal Hereはスマートフォンのイヤホンジャックに簡易カードリーダーを付けることでスマートフォンをモバイル決済端末として使う点が特徴。無料の店舗向けアプリと組み合わせ、クレジットカードやデビットカードによる決済を簡単に実現できる。専用の決済端末を導入すると10万円程度かかるため、小中規模の店舗では導入をためらうケースが少なくないという。

 そこでソフトバンクグループの販売チャネルを通じてスマートフォンとPayPal Hereの組み合わせを一気に広げる計画だ。ローラー作戦はソフトバンクの得意とするところで、「徹底的に売りまくって(加入店舗を)100万~200万件に伸ばしたい」(孫正義社長)とした。カードリーダーの実売価格は1200円前後で、加入店舗は決済額の一律5%を手数料としてPayPal Japanに支払う必要がある。ソフトバンクはPayPalの仕組みを通じて顧客をネットから実店舗に誘導する「O2O(Online to Offline)」ビジネスへの展開も強化していく考え。

 PayPalは190の国・地域でサービスを展開し、世界で1億1000万超の利用者アカウントがある。2011年の世界の総取扱額は1180億米ドル。オンラインだけでなくオフライン決済を強化する方針を掲げ、3月中旬にPayPal Hereを発表。PayPal Here導入は米国、カナダ、香港、豪州に続いて日本が5番目となる。