総務省の携帯電話等高度化委員会 700/900MHz帯移動通信システム作業班は2011年12月13日、第13回の会合を開催した。今回の会合で、1年以上にわたって検討が進められてきた700MHz帯の干渉検討結果がまとまり、報告書案が示された。

 干渉検討結果によって各システムの共存に必要な最小ガードバンド(干渉防止用の未使用帯域)が決まり、700MHz帯の再編でどれだけ携帯電話システム向けに帯域を確保できるかが見えてくる。その結果、700MHz帯では携帯電話システム向けに30MHz幅×2が確保できる見通しとなった。

 干渉検討結果によると、携帯電話の上り周波数帯(端末側からの送信)と隣接する他のシステムの間に必要なガードバンドは、テレビ放送の場合8MHz幅、ITS(高度道路交通システム)の場合、携帯電話システムが5MHz幅システムのケースで5MHz幅、携帯電話システムが10MHzもしくは15MHz幅のケースで7MHz幅、などとなった。

 昨年に総務省が開催したワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ(WG)は、700MHz帯の再編案として、米国の割り当てを考慮した案やAWF(APT Wireless Forum、現在ではAPT Wireless Groupに改称)の検討案を考慮した案など4つの案を示している(関連記事)。今回の作業班の会合では、干渉検討結果を踏まえ、他の案よりも広い30MHz幅×2を確保でき、かつアジア太平洋地域において国際協調がとれた周波数配置になるメリットが得られることから、AWFの検討案を考慮した形が適当と結論付けた。

 AWFの検討案に今回の干渉検討結果を当てはめると、700MHz帯の再編は、テレビ放送が~710MHz、ガードバンドが710M~718MHz、携帯電話の上り周波数帯が718M~748MHz、ガードバンドが748M~755MHz、ITSが755M~765MHzなどといった周波数配置になりそうだ。

 今回作業班が示した報告書案は、親会に当たる携帯電話等高度化委員会が12月19日に開催する会合にて報告される。その後、700MHz帯の技術的条件が固められ、既に割り当て方針が固まった900MHz帯を追うように(関連記事)、700MHz帯の開設指針案(割り当て方針)が公表される見込みだ。

 今後の焦点は、30MHz幅×2を確保できる見通しとなった700MHz帯において、15MHz幅×2の2枠を用意するのか、または10MHz幅×2の3枠を用意するのかがポイントとなる。