米国連邦通信委員会(FCC)は米国時間2010年4月8日、「全米ブロードバンド計画(National Broadband Plan)」の2010年版行動指針を発表した。その中で、米連邦巡回区控訴裁判所が先日、インターネットの規制に関するFCCの権限を否定したことについて「FCCのブロードバンド政策の目的や、目的達成のための最終的な権限を変えるものではない」との見方を示した。

 FCCは2008年8月に、米ComcastがPtoPサービス「BitTorrent」などを利用するユーザーのアクセスを妨害し、ネットの中立性に関する原則に違反したとして、Comcastに妨害行為の禁止とコンプライアンス計画の提出を命じた(関連記事:FCC,ComcastのPtoPアクセス遮断を「不正」と判断)。しかし控訴裁判所は2010年4月6日、「FCCの裁決は権限の範囲を超えていた」とし、差し戻しを命じた(関連記事:ComcastのBitTorrentアクセス妨害問題、控訴裁判がFCCの裁決を差し戻し)。

 FCC委員長のJulius Genachowski氏は行動指針の中で、「裁判所はFCCの目的を問題視したのではなく、以前のFCCが採択した1件の専門的かつ法的仕組みを無効だと判断しただけだ。米国の世界的競争力を守り、すべての米国民がブロードバンドの恩恵を受けるようにするために、FCCがブロードバンド政策のロードマップに従って行動することは極めて重要だ」と述べている。

 今回発表した行動指針では、全米ブロードバンド計画推進に向けた60以上の規定作りや意見募集の予定、その概要などが盛り込まれている。

[発表資料(PDF文書)]